3年遅れの成人式 傷ついた日々「生きてて良かった」と思えるまで

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
着物姿の伊藤楓さん(右)を祝福するイチゴイニシアチブ代表の市ケ坪さゆりさん=東京都大田区で2021年6月8日、内藤絵美撮影
着物姿の伊藤楓さん(右)を祝福するイチゴイニシアチブ代表の市ケ坪さゆりさん=東京都大田区で2021年6月8日、内藤絵美撮影

 東京都心の気温が30度を超えた6月初旬、東京都大田区の池上本門寺近くにある古民家カフェで、一人の女性が3年遅れの「成人式」を迎えていた。事情があって成人式に出ることがかなわなかったためだ。

 「よく似合ってるね」「すてき!」。集まった人たちから大きな拍手が起きると、緊張していた伊藤楓さん(23)から笑みがこぼれた。振り袖は白地に藤の花。編み込んだ黒髪には、つまみ細工の大きな赤い花とかれんな白い花の髪飾りが映える。伊藤さんは、児童養護施設で育ち、退所してからも自立することに精いっぱいで、3年前の成人式に出ることはかなわなかった。このため、ボランティア団体が「成人式」を企画し、女性と面識がない地域の人も祝福に駆けつけた。

 「うわー、すごーい」。伊藤さんもスマホでやっと自分の姿を確認し、びっくりした様子だった。着付け中はうれしくて泣きそうになったという。写真撮影のため、アジサイの咲く庭にしずしずと進むと、再び拍手が起こった。伊藤さんははにかんだ。

この記事は有料記事です。

残り2230文字(全文2656文字)

あわせて読みたい

注目の特集