3年遅れの成人式 傷ついた日々「生きてて良かった」と思えるまで
毎日新聞
2021/6/26 14:00(最終更新 6/26 15:32)
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東京都心の気温が30度を超えた6月初旬、東京都大田区の池上本門寺近くにある古民家カフェで、一人の女性が3年遅れの「成人式」を迎えていた。事情があって成人式に出ることがかなわなかったためだ。
「よく似合ってるね」「すてき!」。集まった人たちから大きな拍手が起きると、緊張していた伊藤楓さん(23)から笑みがこぼれた。振り袖は白地に藤の花。編み込んだ黒髪には、つまみ細工の大きな赤い花とかれんな白い花の髪飾りが映える。伊藤さんは、児童養護施設で育ち、退所してからも自立することに精いっぱいで、3年前の成人式に出ることはかなわなかった。このため、ボランティア団体が「成人式」を企画し、女性と面識がない地域の人も祝福に駆けつけた。
「うわー、すごーい」。伊藤さんもスマホでやっと自分の姿を確認し、びっくりした様子だった。着付け中はうれしくて泣きそうになったという。写真撮影のため、アジサイの咲く庭にしずしずと進むと、再び拍手が起こった。伊藤さんははにかんだ。
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