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大学受験2021夏(4)中部圏の大学 実就職率高く

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実就職率ランキングで全国的にも上位の名古屋工業大=名古屋市昭和区 拡大
実就職率ランキングで全国的にも上位の名古屋工業大=名古屋市昭和区

自動車産業集積地の強み

 新型コロナウイルス禍で経済の先行きが不透明になる中、これまで売り手市場だった大学生の就職活動にも影響が出始めている。そんな時に頼りになるのは各大学の就職・キャリア支援だ。2020年春の卒業生について、実就職率が高かった大学をチェックしながら、各校の取り組みなどを探ってみた。【中根正義】

実就職率ランキング(卒業生1000人以上の大学)
実就職率ランキング(卒業生1000人以上の大学)

 まずは、全国の動向から見てみよう。実就職率(就職者数÷{卒業(修了)者数—大学院進学者数}×100)によるトップ10をみると、1位の金沢工業大に続き、中部地区の愛知工業大や名古屋工業大など理系の大学がランキングに入っている。マイナビの高橋誠人編集長は「IT・情報分野の急速な進歩によって、文系、理系を問わず、社会のさまざまな分野で、新たな人材が求められている。特に数理的な素養をもった人材が不足している。理工系学部出身者は、そうした素養を身につけているので評価が高い」と説明する。

理工系学部出身者に高評価

 中部地区だけで見ると、1000人以上の大学で、全国トップ10入りしている愛知工業大や名古屋工業大、理系の教育機関としてスタートした名城大や中部大、工学部などに強みがある岐阜大や三重大が上位に入っていることが分かる。

 愛知工業大はトヨタ自動車の本社がある愛知県豊田市にある。少人数制の就職対策講座や企業採用担当者と直接の交流が可能な学内企業展を開催するなどして、トヨタ自動車の関連会社を中心に幅広い業種に人材を送り込んでいる。名古屋工業大は国立大の伝統校として、明治以来の歴史を持ち、わが国のものづくりを支えてきた。

 名城大は学生数約1万5000人の中部地区最大の総合大学。ノーベル物理学賞受賞者の赤崎勇氏や天野浩氏が在籍していたほか、ノーベル化学賞受賞者の吉野彰教授が教べんを執っている文理融合系の大学として有名だ。

7学部がワンキャンパスにそろう中部大=愛知県春日井市、同大学提供 拡大
7学部がワンキャンパスにそろう中部大=愛知県春日井市、同大学提供

 中部大は1964年に中部工業大として設立され、84年に現校名に。現在は工学部以外に応用生物、人文、経営情報など7学部からなる総合大学として発展し、キャリア支援などで面倒見のいい大学として知られている。

 大学通信常務取締役の安田賢治さんは「トヨタ自動車のお膝元である中部圏は自動車産業の集積地。自動車関連企業も幅広くあり、そうした企業へ、地元の大学が人材を供給している。それが強みになっている」と説明する。表はないが、卒業生数が100人以上1000人未満の大学でも、愛知工科大やトヨタ自動車が設立した豊田工業大、大同大などは実就職率が95%前後と高い。

 ところで、全国で6位、中部圏で2位の日本福祉大も忘れてはならない。わが国初の福祉大として57年に設立され、現在、8学部を擁する福祉系総合大学だ。日本社会事業大、東北福祉大とともに「福祉三大学」の一角として知られている。国家資格の社会福祉士や精神保健福祉士のほか、さまざまな福祉系の資格が取得できる。

 椙山女学園大は明治時代からの伝統校として、企業の評価が高い。1年次から授業科目の中にキャリア教育があり、インターンシップや卒業生も交えた企業交流会なども行われ、高い実績につなげている。

社会科学系の学部に定評のある愛知大。写真は名古屋キャンパス=名古屋市中村区 拡大
社会科学系の学部に定評のある愛知大。写真は名古屋キャンパス=名古屋市中村区

 愛知大は今年創立75周年を迎え、社会科学系の学部で強みを持つ大学として知られている。中部圏の私立大では司法試験合格者や公務員就職で高い実績を誇り、今春は法学部の卒業生の約4割が公務員として就職している。

 同大学では、4月から法学部と同大学法科大学院が連携し、法科大学院への進学を前提に法学部を3年で卒業できる連携コースがスタートした。国の法曹養成制度改革によるものだが、一貫したプログラムの提供により、大学入学から最短5年で司法試験に合格できる。ちなみに、同大学法科大学院の昨年度の司法試験合格者は7人、合格率は77・78%と全国1位だった。

国際的な人材を多数輩出してきた南山大=名古屋市昭和区 拡大
国際的な人材を多数輩出してきた南山大=名古屋市昭和区

 南山大は戦後直後の46年に南山外国語専門学校として設立され、今年、創立75周年を迎えた。中部圏唯一のカトリック系ミッションスクールで、上智大は姉妹校だ。設立当初から国際性を身につけられる大学として知られ、世界で活躍する人材を輩出してきた。就職率が高いだけでなく、中部圏の優良企業や上場企業への就職者が多いことでも知られている。在校生が、社会で活躍する卒業生たちから直接話を聞く機会が設けられていたり、中部圏の有名企業を中心にオンライン学内会社説明会が実施されたりするなど、さまざまなサポートをしている。

情報、看護・福祉系で新学部開設

 来春の中部圏の大学では、学部・学科の新設・改組は、小幅にとどまりそうだ。ただ、情報化社会の急速な発展に伴い、データサイエンス系や看護・福祉系の学部開設がありそうだ。

 データサイエンス系では、4月に南山大が理工学部にデータサイエンス学科、電子情報工学科、機械システム工学科を新設し、既存のソフトウェア工学科と合わせ4学科体制になった。AI(人工知能)やビッグデータを活用し、超スマート社会で活躍する人材の育成を目指すものだ。

 来年春は名城大理工学部情報工学科を改組し、情報工学部が誕生する。愛知学院大は、心身科学部心理学科が心理学部になる。ビッグデータとして蓄積された心理的実証データを活用し、ビジネスや産業界などでの研究・開発に生かす。心理学の世界で、数理的な素養を持った人材の輩出を目指す。

 看護・福祉系では、金城学院大が看護学部、名古屋女子大が医療科学部(理学療法学科、作業療法学科)を設置予定だ。文部科学省による認可はこれからなので、今後の情報に注意してほしい。

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