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大学受験2021夏(5)国内最大の公立大が関西圏に誕生 受験地図に変化か

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大阪市立大との統合で国内最大の公立大となる大阪府立大。2025年には大阪市城東区に森之宮新キャンパスが開設される 拡大
大阪市立大との統合で国内最大の公立大となる大阪府立大。2025年には大阪市城東区に森之宮新キャンパスが開設される
来春、大阪府立大と統合する大阪市立大 拡大
来春、大阪府立大と統合する大阪市立大

 2022年春、関西圏では大阪府立大と大阪市立大が統合され、わが国最大の公立大となる大阪公立大が誕生する。それによって、関西の受験地図が変わるという声も上がる。他大学でも学部や学科の新増設が相次ぐ。来春以降の動きも交え、紹介しよう。【中根正義】

大阪府立大×大阪市立大 来春統合

 大阪府立大と大阪市立大の統合は、関西圏の受験地図に影響を与えるほどのインパクトがある。学生数は東京都立大を抜いて約1万6000人と公立大最大となる。国立大を含めても大阪大、東京大に次ぐ規模の1学域11学部を擁する総合大学の誕生だ。駿台教育研究所の石原賢一さんは「これまでは、工学部は大阪市立大と大阪府立大の併願ができたのが、これができなくなり、京都大や大阪大、神戸大も含めた併願パターンが変わるだろう」と指摘する。

 このほか、同一法人の兵庫医科大と兵庫医療大も統合する。同大学の薬、看護、リハビリテーションの3学部を加えた新しい兵庫医科大は、1年次から合同の医療体験実習などを行うことにより、チーム医療を担える次代の高度医療人を育てようとしている。

 2年後の23年4月になるが、天理大と天理医療大も統合を予定する。新しい天理大は、これまでの人間学部、文学部、国際学部、体育学部に加え、天理医療大の医療学部が加わり、5学部体制となる。

 大阪信愛学院短大は教育と看護の2学部からなる4年制大学への移行を目指している。

近大・先端IT人材育成/大阪成蹊大・コロナ後見据え「国際観光」

2022年開設予定の近畿大情報学部の学部棟イメージ図=同大学提供 拡大
2022年開設予定の近畿大情報学部の学部棟イメージ図=同大学提供

 学部新設では、来春、奈良教育大と法人統合する奈良女子大に女子大初の工学部が新設される。個別試験では前期で数Ⅲを課さないことが明らかになっており、理系を志望する女子受験生の人気を集めそうだ。

 私立で話題になっているのが近畿大情報学部の新設だろう。AI(人工知能)の活用やデータ分析などを扱う先端IT人材の養成を目指す。学部長には、家庭用ゲーム機「プレイステーション」の開発で知られる元ソニー・コンピュータエンタテインメント社長の久多良木(くたらぎ)健氏が就任予定だ。同学部は理工学部情報学科が母体で、学部開設を見据え、昨年、ドワンゴ社長の夏野剛氏を所長に迎え、情報学研究所を開設した。久多良木氏とタッグを組んで、新学部の運営にあたる。

 情報系学部に関しては、大和大が23年春を目指して新学部の開設を目指している。また、立命館大は24年に情報理工学部を滋賀県草津市のびわこ・くさつキャンパスから大阪府茨木市の大阪いばらきキャンパスに移転、併せて映像学部も京都市の衣笠キャンパスから大阪いばらきキャンパスに移す。

 関西学院大は日本IBMと共同開発した「AI活用人材育成プログラム」を全学開講科目として設けている。全10科目からなり、AI・データサイエンスに関する基礎的な知識から、実際の現場で課題に取り組むプログラムまで、体系的に学べるように工夫されており、学生の評判が高い。

 第4次産業革命とも言われる急激なデジタル化、情報化社会の到来により、新たな人材の育成が急務になっている。各地の大学で、情報系学部の設置や教育を充実させる動きが活発になっているのはそのためだ。

 このほか、京都美術工芸大は工芸学部の建築学科と美術工芸学科を建築学部と工芸学部の2学部体制にする。歴史と伝統のまちである京都の大学として、建築デザインや伝統的な建築や工芸をより深く学ぶ。

 ところで、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大もあり、外国語系学部や観光系学部のある大学は志願者を減らしている。その中、アフターコロナを見据え、学部の改組や新設を目指す大学もある。

 摂南大は外国語学部を国際学部に改組する。デジタル技術の進歩によってグローバル化が進む中、異文化や多様性への理解がある人材育成をするという。

 追手門学院大は国際教養学部を改組し、国際学部と文学部を開設する。国際学部はグローバルスタディーズ、国際文化の両専攻からなり、高度な英語運用能力を身につけ、将来的に国際機関やグローバル企業で活躍できる人材を育成する。文学部は日本文学、美学・建築文化、歴史文化の3専攻からなる。日本文化への深い知識をベースに、国内外で活躍するクリエーティブな人材を育てる。

2023年4月に阪急京都線相川駅西側に完成予定の新キャンパスの校舎イメージ図=大阪成蹊大提供 拡大
2023年4月に阪急京都線相川駅西側に完成予定の新キャンパスの校舎イメージ図=大阪成蹊大提供

 観光系では、大阪成蹊大が国際観光学部を新設予定だ。国際観光、観光まちづくり、国際ビジネスの3コースからなる。1年次と3年次に2回の留学をして、確実な英語の運用能力を身につける。さらに、産・官・学が連携し、国連世界観光機関(UNWTO)の協力による授業も検討。フィールドワークなどの実践的な学びにより、学生が自ら課題を見つけ、解決する能力を養う。同大学は24年にかけて看護、データサイエンス、社会の各学部(いずれも仮称)の設置も目指している。

 現在、コロナ禍により世界的に人々の移動が制限されているが、デジタル化、情報化によるグローバル化は避けられない。大学通信の安田賢治さんは「これから大学入学を目指す受験生は、大学を卒業する4年先を見据えて志望校や学びたい学部・学科を見つけてほしい。その頃はコロナ禍も終息し、人々の往来も活発化しているはずだ」とアドバイスする。

 ここで取り上げた学部・学科の新設は、文部科学省の認可が必要なものもあり、変更になることもある。折に触れて各大学のホームページなどでチェックしてほしい。

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