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時代の風

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時代の風

大水害で被災した美術品と施設 負の経験を将来の糧に=梯久美子・ノンフィクション作家

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=西夏生撮影
=西夏生撮影

 西宮市大谷記念美術館(兵庫県)で開催されている、石内都の写真展「見える見えない、写真のゆくえ」で、不思議な写真を見た。

 一見しただけでは何が写っているのかわからない、抽象画のような画面。上部の4分の3ほどは、茶色とグレーのカーテンのようなもので覆われている。よく見ると、残りの4分の1の部分には、人の足の指と思われるものが写っている。

 この写真は、今回の個展の最後に展示されている<The Drowned>と題した新作3点のうちの1点である。The Drowned=溺れたもの。実はこれは、水没して表面がはがれ落ちた作品を写真家本人が撮影した“写真の写真”なのだ。カーテンのように見えるのは汚水の跡で、指が写っているのが、もとの写真がわずかに残った部分である。

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