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東京五輪の水際対策 「バブル方式」欠陥が露呈

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 新型コロナウイルスの感染が続く中、東京オリンピックに向けて、政府が「安全・安心」の根拠とする水際対策の欠陥が露呈した。

 来日したウガンダ選手団の1人が空港検疫で陽性と確認された。しかし、他の8人は濃厚接触者と認定されないまま、合宿地の大阪府まで貸し切りバスで移動した。

 その後、2人目の陽性者が判明し、濃厚接触者はバスに同乗した自治体職員や運転手などにも広がっている。

 大会組織委員会によると、入国した選手らは、外部との接触が遮断される「バブル方式」で行動することになっている。選手らが市中で感染することを防ぎ、市中に感染を拡大させることも避けるのが狙いだ。

 これを前提に、選手らは入国の際の隔離措置を免除する特例が適用されている。すぐに練習などができる。

 しかし、肝心のバブル方式が機能していない。

 選手団はワクチンを2回接種し、出国前72時間以内の検査の陰性証明書も提出していた。それでも、「バブル」の中に感染者が出て、さらに外部とも接触していた。

 陽性者が見つかった段階で、選手団のメンバーを濃厚接触者と認定して隔離し、検査の対象にすべきだった。

 しかし、濃厚接触者の認定は空港では行わず、受け入れる自治体が担当する仕組みになっている。

 田村憲久厚生労働相は、選手らと自治体職員との接触について「本来あってはならないことだ」と述べた。だが、職員が出迎えや移動の補助などのため選手らと接触することは避けられない。

 これでは自治体に責任とリスクを押しつけていると批判されても仕方がない。

 地域のコロナ対策の最前線に立つ自治体は、ワクチン接種も進めなければならない。五輪選手団の受け入れに伴う濃厚接触者の調査はさらなる負担になる。

 東京五輪・パラリンピックでは約7万人の選手・関係者が来日する。五輪を契機とした感染拡大は防がねばならない。

 水際対策を強化すると同時に、バブル方式が十分機能する体制を構築する必要がある。政府はその責任を果たすべきだ。

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