特集

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスのニュース、国内での感染状況を報告します。

特集一覧

ヨセキ発言が象徴 コロナ禍の文化芸術支援の「体たらく」

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
寺脇研・京都芸術大客員教授=東京都千代田区で2021年6月22日、佐々木順一撮影
寺脇研・京都芸術大客員教授=東京都千代田区で2021年6月22日、佐々木順一撮影

 文部官僚として文化教育行政に長く関わり、退職後は政府の内情を知る立場から提言、批判を続ける寺脇研さん。コロナ禍で右往左往する文化芸術分野への公的支援策を「1年以上たってもこの体たらく」と批判し、支援の在り方を「根本的に見直すべきだ」と主張する。一体、何が問題なのか、課題と対策を聞いた。【聞き手・構成 勝田友巳】

 2020年度の文化芸術分野のコロナ対策予算は2724億円、通常の文化庁予算の3倍近い。このうち6割以上が経済産業省分とはいえ、文化芸術関係者の側からすると、やってもらってる感がない。なぜなのか。

 一つには、そもそも文化芸術に対する従来の助成制度がいびつで、一部にしか届かない仕組みになっているせいだ。日本の支援政策は欧州をお手本にしていて、行政が人や作品を審査して、良いものに個別にお金を出すというプロジェクト支援、いわばパトロン行政だ。その考え方が行き詰まっていることが、今回露呈したのではないか。封建国家や全体主義国家ではないのだから、パトロン行政はやめるべきだ。

 例えば演劇界は、小さな劇団の場合、劇団員が別の仕事で生計を立てながら、公演ごとにお金を出し合って劇場を借りてチケットを売り、やっと収支がトントンというところがたくさんある。公演できれば仮に赤字でも打撃は限られるだろうが、計画していた公演がコロナで中止となれば、経費や稽古(けいこ)場、劇場の借り賃は戻らず大打撃となる。今回の支援策は、そういう事態に対応できるシステムになっていない。

 落語界は、寄席への支援を訴えた。寄席は公演会場であると同時に、前座など若い人が修業する場であり、なくなれば落語という芸の存亡に関わってくる。しかし、現行の仕組みでは寄席への助成はできない。

 限定的な個別支援ではこうした要請に応じられない。支援の方式は、…

この記事は有料記事です。

残り2260文字(全文3021文字)

【新型コロナウイルス】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

注目の特集