震災通し描く日常の苦しみ 佐藤厚志さん中編小説『象の皮膚』

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
『象の皮膚』を刊行した佐藤厚志さん=新潮社提供
『象の皮膚』を刊行した佐藤厚志さん=新潮社提供

 「特に震災を書こうとしたわけではないんです」。仙台市在住の作家、佐藤厚志さんの初の単行本『象の皮膚』(新潮社)が刊行された。アトピー性皮膚炎に悩む女性の書店員を主人公に、接客業の苦労や、東日本大震災後の混乱を描いている。「宮城県で暮らしていると、自然と震災の風景が目に入ってきます。震災が日常に組み込まれているので、それを避けては書けません」

 物語の舞台は仙台市内の大型書店。主人公の凜は幼い頃から皮膚炎を抱え、家族を含む周囲から差別されてきた。その孤独な苦しみと対になるように、書店の過酷な労働現場が描かれる。店の対応に難癖をつけたり、女性店員を狙っていやがらせをしたり、さまざまな客の姿が社会のゆがみを浮かび上がらせる。

この記事は有料記事です。

残り410文字(全文723文字)

あわせて読みたい

注目の特集