イスラム霊廟にワクチン行列 イランの「中国接近」は吉か凶か?

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イスラム教の聖者をまつる霊廟の前で、中国製ワクチンの接種を待つ高齢者たち=テヘランで2021年6月21日、真野森作撮影
イスラム教の聖者をまつる霊廟の前で、中国製ワクチンの接種を待つ高齢者たち=テヘランで2021年6月21日、真野森作撮影

 6月のイラン大統領選で保守強硬派のライシ師が初当選した。新政権誕生は内外情勢にどのような影響を及ぼすのか。転機を迎えるイランの現状を探った。(ログインした方は動画をご覧いただけます)

 イスラム教の聖者をまつる霊廟(れいびょう)に多くの高齢者が集まっていた。6月下旬、イラン大統領選の取材で訪れた首都テヘラン。だが人だかりの理由は選挙集会ではない。新型コロナウイルス対策として、中国医薬集団(シノファーム)社製のワクチン接種を待つ行列だ。空色のタイルの壁が美しいドーム建築の庭は、臨時の接種会場と化していた。

 主流は中国やロシアのワクチンだ。イランは今、この両国、特に中国への接近を図っている。

 背景には長引く米国との対立がある。イランは2015年、核開発を制限する見返りに経済制裁の一部解除を引き出す「核合意」を米英仏独露中と締結。だがトランプ前米政権は18年に合意から離脱し、対イラン制裁を再強化した。このため保守穏健派のロウハニ大統領が目指した国際協調路線は挫折し、イラン経済は悪化。今年1月に発足したバイデン米政権は核合意復帰を視野にイランと間接交渉を続けているが、妥結のめどは立っていない。そして6月のイラン大統領選では、ロウハニ路線に否定的な反米保守強硬派のエブラヒム・ライシ司法府代表(60)が当選した。

 「ロウハニ大統領の失敗は…

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