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田中優子の江戸から見ると

法政大総長・田中優子さんのコラム。江戸から見る「東京」を、ものや人、風景から語ります。

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さつきに考える循環

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 今年は6月10日が旧暦の5月1日で、その日から「さつき」となり、徐々に梅雨らしい天気となった。「さつき晴れ」は本来、5月の晴れではなく、新暦6月の梅雨の間の貴重な晴れ間のことなのだ。

 5月は江戸時代では一年の循環を感じる大事な田植えの季節でもある。先日、循環をテーマとするテレビ番組のインタビューで、「なぜ江戸時代の人は資源が有限だと知っていたのですか?」と質問され、びっくりして一瞬言葉が出なかった。気を取り直し、「それは、資源が実際に有限だからです」と答えた。しかし、その答えに納得できないらしく、繰り返し聞かれた。どうやら質問者は資源は無限だと思っていたようだ。

 その勘違いの原因は、はるか大航海時代にさかのぼる。後にフロンティア精神と名付けられるこの動きは、新大陸、アフリカ、アジアに入って、既に人々が循環を大事にしながら使っている「有限な」資源を収奪した。その中には人間そのものも入っていて、その資源を「奴隷」と名付けた。

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