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通学路の死亡事故 リスク減らす交通対策を

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 千葉県八街(やちまた)市で下校中の小学生の列に大型トラックが突っ込み、男児2人が死亡した。ほかに3人の児童が重いけがをした。

 通学路で子どもたちが交通事故に巻き込まれるケースが、後を絶たない。悲劇を繰り返さないように、リスクを減らすための交通対策を進めるべきだ。

 トラックの運転手はハンドル操作を誤ったと供述した。呼気から基準値を超えるアルコールが検出され、勤務先に戻る途中に「酒を飲んだ」と話しているという。

 飲酒運転は、重大な事故を起こす危険性が高い。職業運転手としての自覚が欠如していた。勤務先の指導・監督が適切だったかも問われる。

 厳罰化や取り締まりの強化で飲酒運転による死亡事故は減ってきた。それでも昨年は159件起きている。根絶に向けて、さらなる取り組みが求められる。

 通学路の安全も改めて点検する必要がある。

 現場には歩道や、車道と分けるガードレールはなかった。一方、見通しの良い直線道路で交通量が多く、スピードを出す車も少なくなかったという。

 近くでは2016年にも、今回の被害者と同じ小学校の児童の列にトラックが突っ込み、4人が重軽傷を負う事故が起きている。

 12年に京都府亀岡市で集団登校中の児童ら3人が死亡した事故を受け、国は全国で7万以上の危険箇所を確認し、歩道の整備や路肩の拡幅などが進められてきた。

 ただ、道路の改良には予算と時間がかかる。危険箇所でなくても事故は起こり得る。

 事故を防ぐには、思い切った対応が欠かせない。通学路では、車の通行を厳しく制限すべきではないか。

 車が通らざるを得ない道路は、スピードを出せないような仕組みを施す。車が通行できる時間帯を限ることも考えられる。

 歩行者の安全が最優先される原則を徹底すべきだ。

 日本では、交通事故死者に占める歩行者の割合が、欧米に比べて高い。背景には、車優先の交通行政を進めてきた経緯がある。

 事故のリスク低減には、歩行者中心の道路と車中心の道路を分けるなど、抜本的な対策が必要だ。

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