頼みの綱は「幽霊」? 回復から取り残される飲食業の切り札

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WDIグループが運営するゴーストレストランのキッチン。左奥にある数台の端末に注文が入ってくる=東京都港区で2021年6月、竹地広憲撮影
WDIグループが運営するゴーストレストランのキッチン。左奥にある数台の端末に注文が入ってくる=東京都港区で2021年6月、竹地広憲撮影

 新型コロナウイルス禍で大打撃を受けた飲食業界に「ゴーストレストラン」と呼ばれる新業態の店が増えている。客席を持たず、外からは提供している料理が見えないため、「ゴースト(幽霊)」と呼ばれる宅配特化型の新たな形態だ。1日公表された日銀短観では飲食業の回復の遅れが改めて鮮明になったが、低迷が続く収益の穴埋めのため業態転換に踏み切るケースも多い。試行錯誤しながら取り組む、その実態とは――。【竹地広憲/経済部】

4店舗の料理を1カ所で

 東京・六本木の商業ビル9階。看板も表示もなく、外観からは中身がうかがえない一室に入ると、豊富な調理器具が並ぶ広々としたキッチンが目に入った。部屋の半分ほどがキッチンで占められ、残り半分のスペースには打ち合わせなどに使うテーブルが置いてあるだけ。客の出入りはなく、キッチンで数人の料理人が立ち働いていた。

 昼時ともなると、キッチンのそばに取り付けられた複数台のタブレット端末から注文が入った合図が鳴り響く。てきぱきと調理された料理は箱詰めされ、「ウーバーイーツ」や「出前館」などの配達員に渡される。ここではベトナム料理の「フォー」やハワイで人気の「ガーリックシュリンプ」など、4店舗相当の料理が作られている。消費者からはそれぞれ独立した専門店にオンラインで注文しているように見えるが、…

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