「歩くことが命がけ」視覚障害者と歩く市街地 気づかれにくい危険

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横断歩道を渡る群馬県視覚障害者福祉協会会長の茂木勤さん(左)。同伴しているのは同協会事務局長の金井雅之さん=前橋市六供町で2021年6月11日午後2時54分、菊池陽南子撮影
横断歩道を渡る群馬県視覚障害者福祉協会会長の茂木勤さん(左)。同伴しているのは同協会事務局長の金井雅之さん=前橋市六供町で2021年6月11日午後2時54分、菊池陽南子撮影

 白杖(はくじょう)を手にした視覚障害者が車の往来が激しい市街地に一人で出かけると、こんなことを考えるという。「歩くことが命がけ」。どんな危険があるのだろう。全盲の群馬県視覚障害者福祉協会会長、茂木勤さん(69)と前橋市中心部を歩くと、健常者ではなかなか気づかない問題が次々と浮かび上がった。【菊池陽南子】

 関東地方が梅雨入りする前の6月11日の昼下がり。空は晴れ渡り、街路樹の新緑の間からは光が差し込んでいた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府のまん延防止等重点措置が県内にも適用されてはいたものの、仕事や買い物などで外に出れば、長引く巣ごもり生活の息苦しさを忘れてしまうくらいすがすがしい陽気だった。

 しかし、市街地を歩く視覚障害者に初夏を楽しむ余裕はない。よそ見をしながら歩く人や、我が物顔で歩道を走る自転車。最も危険なのは、言うまでもなく車である。

 「危ない!」。同市六供町の十字路交差点に差し掛かると、茂木さんが突然叫び声を上げた。赤信号の横断歩道を渡ろうとし、スピードに乗った車が目の前を通り過ぎたのだ。この交差点では、南北方向は「ピヨ、ピヨピヨ」、東西方向は「カッコー、カカッコー」の音が鳴る音響式信号が取り付けられていた。それなのに、なぜ?

 茂木さんは南から北に向かおうとしていたが、東西の横断歩道から発せられていた青信号の音に引き寄せられてしまったという。音響式信号が取り付けられていても、方角と音の種類を頭に入れておかなければ事故に遭いかねないということだ。混乱の原因…

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