連載

科学の森

科学や環境問題を専門に取材する記者が、身近な話題を図解を交えてわかりやすく解説します。

連載一覧

科学の森

植物に備わる「情報保持」機能 「記憶」頼りに、食虫植物の戦略

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
植物の「記憶」の仕組み
植物の「記憶」の仕組み

 植物は、花を咲かせたり栄養を取ったりするタイミングを、どうやって制御しているのだろう。植物には、動物で情報伝達を果たす脳や神経がない。だが、環境の変化に応じて成長や生理反応を起こすためには、何らかの情報の「記憶」が必要だ。その仕組みに迫った。

 植物は、基本的に自身が根を張った場所から動けない。だが、葉などを巧みに操って、自身よりも自由に動き回る虫を捕らえて栄養の一部としている植物が存在する。「食虫植物」と呼ばれるものだ。

 米国の一部の湿地帯に自生する食虫植物「ハエトリソウ」は、二枚貝のような形をした葉で虫を捕らえ、栄養にする。虫による接触刺激は、葉に生えた突起「感覚毛」で感じ取るが、一度触っただけでは動かない特徴がある。最初の刺激から30秒以内にもう一度触ると、約0・3秒の速さで葉が閉じる。一方、2回目の刺激が30秒を過ぎてからだと開いたままになる。「記憶が『情報の保持』とすれば、ハエトリソウは最初の刺激を30秒…

この記事は有料記事です。

残り1379文字(全文1792文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集