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バイデン政権2021

第46代米大統領となったバイデン氏。分断された国内や不安定化する国際情勢にどう対応するのでしょうか。

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杉山晋輔・前駐米大使「米国は今、大きな絵を描こうとしている」

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インタビューに答える杉山晋輔前駐米大使=東京都千代田区で2021年6月25日、前田梨里子撮影
インタビューに答える杉山晋輔前駐米大使=東京都千代田区で2021年6月25日、前田梨里子撮影

 バイデン米政権の誕生により、主要な国際会議では日米が連携し、名指しで中国を批判する場面が目立っている。米国は中国をどのように分析し、日本にどんな役割を期待しているのか。日米首脳会談で「台湾」が半世紀ぶりに明記された意味は。日米同盟の現在地を、2月まで駐米大使を務めた杉山晋輔氏(68)に聞いた。【聞き手・飼手勇介】

米国で広がる中国への危機感

 ――バイデン米政権は中国に対して厳しい姿勢を打ち出し、6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)では中国を名指しで批判する共同声明が取りまとめられた。現在の米中関係をどうみていますか。

 ◆米ソ冷戦時代、ソ連は経済では国際社会でもそれほど大きな存在ではなかった。当時は共産主義とのイデオロギー対立もあったが、一番大きいのは米ソという超大国がいかに核弾頭数を減らすかという問題だった。

 一方、今の中国は核大国というだけではなく、軍事面で非常に拡張的な政策を取り、尖閣諸島(沖縄県)で領海侵犯を繰り返し、南シナ海では領有権争いがある島を埋め立て要塞(ようさい)化した。遠くない将来、米国並みの新型空母を建造するだろう。大陸の陸軍国家だった中国が、空母機動部隊を備えた外洋海軍を持つ、海洋国家になろうとしている。

 さらに半導体などのサプライチェーン(供給網)や第5世代移動通信規格「5G」などの最先端技術での覇権争い、中国主導の国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」などの不透明な形での借款供与など、経済面でもさまざまな問題を起こしている。

 アメリカは唯一の超大国の地位が脅かされるかもしれないという危機感や問題意識を非常に強く持っている。

 (駐米大使として)米国で感じたのは、ホワイトハウスも、共和、民主両党も、官も民間も根本的に中国に対する厳しい見方は共有されているということだった。対中政策をもう少し融和的にやろうという人はいないと言ってもいいほどの状況だ。

 ――バイデン大統領は初の対面式の首脳会談の相手に菅義偉首相を選んだ。日米関係をどう評価していますか。

 ◆バイデン政権は3月に国家安全保障戦略の指針を公表したが、そこには大きく三つのキャッチフレーズがある。

 まず、この時代は、…

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