豊富な史料と聞き取りで解明 もう一つの「保守本流」政治家の功績

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「評伝 福田赳夫 戦後日本の繁栄と安定を求めて」五百旗頭真・監修 井上正也/上西朗夫/長瀬要石・著 岩波書店 5280円(税込み)
「評伝 福田赳夫 戦後日本の繁栄と安定を求めて」五百旗頭真・監修 井上正也/上西朗夫/長瀬要石・著 岩波書店 5280円(税込み)

 1976~78年に第67代の首相を務めた政治家・福田赳夫の足跡をまとめた評伝がこのほど刊行された。長年のプロジェクトを経て刊行された評伝の価値と、その中で解明された福田の功績について、政治外交史に詳しい服部龍二・中央大教授が論じた。

  ◇

 大蔵省出身で経済・財政政策を強みとし、1970年代に2年間、首相を務めた福田赳夫の評伝である。

 これまで福田内閣の施策については、東南アジアとの「心と心の触れあう」関係を唱えた福田ドクトリンや日中平和友好条約の締結などに研究の蓄積があった。しかし、汗牛充棟の田中角栄本とは対照的に、福田の伝記的研究は進んでこなかった。その空白を埋めて余りある初の本格的評伝が本書である。四つの特色を挙げたい。

議論と推敲を重ねた共同執筆の学術書

 第1に、元秘書官、番記者、政治史家が共同で執筆している。長期にわたり3人の執筆者と監修者は、本来の分担を越えて議論と推敲(すいこう)を重ねた。これまで鳩山一郎や三木武夫などについて…

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