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ミャンマークーデター

ミャンマー国軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチー氏らを拘束。市民や国際社会からは抗議と批判が相次いでいます。

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「ロヒンギャに市民権」ミャンマー民主派が方針 国内に不満の声も

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バングラデシュの難民キャンプを出て船でインドネシア北西部アチェ州に漂着したロヒンギャの女性や子供。ミャンマー国軍によるクーデターで問題の解決はさらに遠のいた=2021年6月4日、AP 拡大
バングラデシュの難民キャンプを出て船でインドネシア北西部アチェ州に漂着したロヒンギャの女性や子供。ミャンマー国軍によるクーデターで問題の解決はさらに遠のいた=2021年6月4日、AP

 ミャンマーで国軍に抵抗する民主派で作る「国家統一政府(NUG)」が、少数派イスラム教徒「ロヒンギャ」に市民権を与える方針を示している。「不法移民」という従来の主張を繰り返す国軍との違いを鮮明にし、人権を重視する欧米などを引きつける狙いとみられる。だが、人口の約9割を仏教徒が占めるミャンマーでは、ロヒンギャに対する強い差別感情があり、NUGの方針に反発する人もいる。

 ミャンマーには130以上の少数民族がいるとされるが、ミャンマー側で推定100万人が暮らしていたロヒンギャは、固有の民族集団ではなくバングラデシュ側からの「不法移民」とみなされている。1982年にミャンマー国籍を剥奪され、大半が無国籍者となった。

 国内世論は冷たく、国民民主連盟政権を率いたアウンサンスーチー氏も「ロヒンギャ」ではなく「バングラデシュからの人々」という意味で「ベンガリ」と呼んでいた。

 また、国軍などによるロヒンギャ迫害はジェノサイド(民族大量虐殺)にあたると国際司法裁判所に訴えられた裁判で、出廷したスーチー氏はこれを否定した。

 だが、2月のクーデター後、ネット交流サービス(SNS)上で、民主派の若者らから過去の「沈黙」への反省が広がり、ロヒンギャとの連帯を呼びかける動きが相次いだ。

 さらに、NUGは6月3日にロヒンギャに関する基本政策を発表。NUGの国際協力相は翌4日、記者会見でロヒンギャに「兄弟姉妹」と呼びかけ、国籍法を改正し市民権を与える方針を示した。地元記者は「人権問題に厳しい欧米を味方につけるためだ」とみる。

世論とNUGに溝 解決には時間

 一方、国軍のミンアウンフライン最高司令官は5月下旬の香港メディアとのインタビューで「自国の法律を無視する国はない」と指摘し、従来と同じロヒンギャは不法移民との見解を示した。国軍が設置した「国家統治評議会(SAC)」のゾーミントゥン報道官も6月中旬の記者会見で「ミャンマーにロヒンギャという民族はいない」と述べた。

 世論もそうした意見が主流で、NUGの方針には異論も出ている。多くのロヒンギャの出身地である西部ラカイン州の仏教徒少数民族ラカイン族の政党、アラカン民族党のトゥンアウンキョー氏(70)は「ラカイン州の人々はNUGのロヒンギャに関する考えを支持しない。ラカインの人々抜きにこの問題を議論すべきでない」と、不快感を示す。

 軍政期に民主化運動を率いたコーコージー氏は「SNSは仮想世界で、政策立案者は現実を理解する必要がある」と指摘。「現行法を合法的に修正したり廃止したりできる場は議会だけだ。ロヒンギャ問題は解決に時間がかかり、今は(国軍の)暴力をやめさせ、国を民主主義の軌道に戻すことを優先すべきだ」と話している。【バンコク高木香奈】

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