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東京に駐在する外国メディア特派員の目に、私たちの社会はどう映っているのだろうか。韓国、フランス、米国、バングラデシュ、シンガポールの個性豊かな記者たちがつづるコラム「私が思う日本」。第13回はルモンド紙(フランス)のフィリップ・メスメール東京特派員が、LGBTら性的少数者に対する自民党の姿勢と日本社会の多様性について語る。
東京オリンピック・パラリンピックが間近に迫った6月、自民党はLGBT理解増進法案の国会提出を見送り、日本社会の寛容さを世界に示すせっかくの機会を逃した。自民党の、少なくとも最も保守的なグループは、日本社会の現実から、すでにかけ離れてしまっている。
この強力で影響力のあるグループは、性的少数者を社会が受け入れやすくするためのささやかな法案ですら拒絶した。法案は、LGBTに対して根強い抵抗感がある日本社会にとって、受け入れやすいものであったかもしれないが、LGBTに権利を与えるようなものからは、ほど遠かった。
そもそも自分の意見をあまり口にしない日本社会の中で、多くのLGBTがつつましく暮らしている。自分の性的指向が露見するのを恐れる人もいれば、本当は公言したくても非難されることを危惧して言い出せない人もいる。
こうした人々を受け入れようと取り組むことは社会にとって不快なことでもなければ、危険なことでもない。日本社会に多様性があることを示すことにほかならない。
この問題は、他の国でも議論されてきたし、今も議論されている。LGBTへの差別や社会への受け入れについて…
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