EU離脱に英国漁師が恨み節 半年経過も恩恵なく コロナ禍も直撃

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白身魚やエビなどの水揚げをする漁師、ウィーリー・ローダーさん=英スコットランド北部フレーザバラで5月27日、横山三加子撮影
白身魚やエビなどの水揚げをする漁師、ウィーリー・ローダーさん=英スコットランド北部フレーザバラで5月27日、横山三加子撮影

 欧州連合(EU)離脱完了から半年がたった英国の漁業は、EU向けの出荷減少と、コロナ禍の二重の苦しみにあえいでいる。離脱前、英海域で操業するEU漁船の多さに不満を持ち、「海の主権を取り戻す」と離脱を強力に支持してきた英国の漁師たちは今、何を思うのか。英北部スコットランドの港町を訪ねた。

 「離脱しても漁獲割り当てが増えるわけでもない。むしろ、ノルウェー海域に行けなくなった分、漁獲量は減ったよ」

 5月末でも吹き付ける風が冷たく、厚手のコートが必要なほどのスコットランド北部の港町フレーザバラ。水揚げ中の漁船の船長、ウィーリー・ローダーさん(62)が、作業の手を止め、そう語った。

 当初、EU離脱の「果実」とされたのが、外国との独自の漁業交渉権だった。だが、英国とノルウェーの交渉は4月末に決裂。それまで相互に海域を行き来していた英国とノルウェーの漁船は、相手国海域での漁ができなくなった。ノルウェー海域で操業していたスコットランドの漁師にとって、実質的な漁獲枠減少となった。

 フレーザバラから南へ約27キロのピーターヘッド魚市場も、かつてのにぎわいを失っている。欧州一の水揚げ量を誇り、通常なら魚介類の入ったトレーを1日1万箱取り扱う能力があるが、昨年以降は新型コロナウイルスの感染拡大防止策として6500箱に制限。離脱に伴う混乱や輸出コストの増加でEU向けの出荷が減り、1月には数百箱しか並ばない日もあった。

 魚卸売会社を営むウィリアム・クラークさんは「市場に魚がなければ、未来がない。漁業の荒廃…

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