特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

社説

熱海の土石流災害 避難指示なぜ出なかった

  • コメント
  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 静岡県熱海市の大規模な土石流災害で、多くの住宅が流され、複数の死者が出ている。

 安否が分からない住民もおり、警察や消防、自衛隊が捜索活動を続けている。一刻も早い救助に全力を挙げてほしい。現場周辺を含め、大雨が降った地域ではなお土砂災害に注意が必要だ。

 梅雨前線の影響で、現場近くの観測地点では、3日午後までの48時間雨量が平年の7月の1カ月分を大きく上回っていた。

 当時、県内には警戒レベルが上から2番目に相当する土砂災害警戒情報が出されていた。だが、市は避難に時間を要する住民を対象にした「高齢者等避難」を発令するにとどめ、全住民への避難指示は出さなかった。

 警戒レベルが最も高い「緊急安全確保」に切り替えられたのは、土石流が発生した後だった。

 市内は集中豪雨ではなく、強い雨が長時間にわたって降り続いている状況だった。避難指示に引き上げるタイミングが難しかったのかもしれない。

 だが、被害に遭った地区は土石流の危険がある沢に囲まれており、土砂災害警戒区域に指定されている。現場を含めた熱海市一帯が溶岩の上に火山噴出物が堆積(たいせき)している土地で、崩れやすい地質でもある。

 そうしたリスクの高い場所があることを踏まえれば、避難を強く促す情報を出すべきではなかったのか。今後の検証が必要だ。

 今年から避難勧告が廃止され、避難指示が従来の勧告のタイミングで出されるようになった。指示と勧告の区別がつかないという住民の声に対応した措置だ。

 ただ、避難指示を出すケースが増えると、実際にはそれほど被害が生じない「空振り」も多くなる。そのため、自治体が発令の判断に慎重になりすぎるのではないかという懸念も出ていた。今回はどうだったのだろうか。

 情報を一本化したのは住民の避難を遅らせないための見直しだ。自治体は発令をためらうようなことがあってはならない。

 近年、梅雨末期にあたる今の時期には大きな豪雨災害が相次いでいる。国と自治体には、人々の命を守ることを最優先にした対応が求められる。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集