災害不明者の氏名公表 過去にも分かれた判断 土石流で64人公表
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静岡県熱海市で起きた土石流災害では、今も所在が不明な人が大勢いる。静岡県は発生3日目の5日、住民基本台帳に基づき所在不明者64人の名簿を公表した。過去の災害では、氏名公表で安否の確認ができ、捜索活動の負担が減った例もある。今回は荒天で救助活動が難航したこともあり、早期の氏名公表は捜索を迅速に進める狙いがある。
公表のメリット、デメリット
安否不明者の氏名公表については国の防災基本計画にも規定はなく、自治体の判断に委ねられている。このため、過去の災害でも公表と非公表で対応が分かれた。
2018年7月の西日本豪雨では、岡山県が発生の5日後、それまでは一部を除き非公表だった安否不明者計51人の実名をいっぺんに公表した。大規模な浸水被害に見舞われた倉敷市真備町地区で多数の安否不明者がいることが判明し、早期に発見する必要に迫られたからだ。発表後、安否不明者について「生きている」との情報が続々と県に寄せられ、初日だけで33人の生存が確認された。
これに対し、西日本豪雨で岡山と同様に被害が大きかった広島、愛媛両県は「情報提供元の市町の了解を得られていない」「個人情報を保護する必要がある」といった理由で当初は非公表とした。岡山県が公表した2日後、「災害の重大性を鑑みた」などとして公表に踏み切った。
不明者公表のメリットは、救出・捜索活動の無駄を省くことだ。公表すれば対象者が名乗り出ることが期待でき、実際に災害に巻き込まれた人の捜索に集中できる。15年9月の関東・東北豪雨では、茨城県と常総市が連絡の取れない住民15人を氏名非公表のまま安否不明者として発表し続け、無事が判明した後も自衛隊などが捜索継続を余儀なくされたケースがある。
一方、氏名公表で不利益が生じる人にはデメリットになる。配偶者からの暴力や、ストーカー行為、児童虐待の被害者らだ。このため安否不明者を公表する自治体でも、住民基本台帳の閲覧制限を受けている人は非公表にすると決めているところもある。
こうしたなか、全…
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