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「言葉の力」映画で取り戻したい コロナ禍に相次ぎ新作公開 石井裕也監督

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石井裕也監督=東京都目黒区で、内藤絵美撮影
石井裕也監督=東京都目黒区で、内藤絵美撮影

 日本の映画界をけん引する若手の石井裕也監督(38)が春先からコロナ禍にあらがうように映画館で新作の公開を続けている。都市部の映画館では新型コロナウイルスの感染状況をにらんでの上映が続いており、興行を取り巻く環境はかなり厳しい。コロナ禍に何を見ているのだろうか。

 異能の人だ。大学の卒業製作で監督した作品が映画関係者の注目を集め、27歳の時、商業映画のデビュー作「川の底からこんにちは」でブルーリボン賞監督賞を史上最年少受賞。30歳の時には辞書編集者を描いた松田龍平さん主演作「舟を編む」で日本アカデミー賞最優秀作品賞や最優秀監督賞などに輝いた。その後も、最果タヒさんの詩集をベースに自らが脚本を書き起こした「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」などで、多くの賞に選ばれ続けている。

 そんな石井監督はこの春から夏にかけて2本の映画を相次いでリリースした。5月に公開された「茜(あかね)色に焼かれる」、今月2日に封切りされたばかりの「アジアの天使」である。

 「茜色に焼かれる」は、コロナ禍にあえぐ母子家庭を描いた作品。主演は尾野真千子さん。夫を交通事故で失い、経営していたカフェもコロナ禍で失う。やむを得ず夜の仕事に身をやつしながらも息子と懸命に生きようとする姿が映し出される。もう一本、「アジアの天使」は池松壮亮さんの主演。韓国で撮影され、関わった俳優やスタッフも9割以上は韓国のクルーという作品だ。それぞれ傷を抱えた日本と韓国の家族がソウルで出会い、家族のあり方を模索するロードムービーである。2作とも、石井監督はメガホンを握っただけでなく、脚本も自らが書き上げている。

 コロナ禍の中、なぜあえて短い期間に2本の公開に踏み切ったのか。…

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