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やまと・民俗への招待

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満を持し十三塚発掘 /奈良

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 奈良女子高等師範学校教授の佐藤小吉は、大正時代に県史蹟(しせき)勝地調査会委員として十三塚を調べ、その報告を『奈良県史蹟勝地調査報告書第七回』(1920年刊)に載せている。同氏は戦国時代の戦死者を、主人を中心に葬ったものかと推測したが、今後の発掘調査に期待を寄せていた。

 その後、土地所有者が変わったことから、1932年に急に発掘調査が現実味を帯びてきた。十三塚は大阪の商事会社所有から転々として、高知県の中尾為三郎らの所有に帰した。同氏は知人で土佐史談会長などを務めた寺石正路に発掘の話を持ちかけた。十三塚を踏査したことがある寺石はすぐに奈良県史蹟勝地調査会に連絡を取り、中尾も県社寺課に出向き、さらに国の許可も得て、翌33年2月25日から佐藤教授が主任、津田辰三県属が担当となり発掘が実施されることになった。

 当日は、寒風特に厳しく、谷水も凍るような日だったというが、文化財関係者や見物人が殺到し、警察官が縄張りをして整理しなければならなかった。午前11時から、中央の主塚(大塚、王塚)の前で平群の石床神社の神職が祭主となって発掘慰霊祭が営まれ、その後、塚の実測がなされ、午後2時40分から、いよいよ発掘が始まった。

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