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障害者差別の解消 法改正を共生への一歩に

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 障害を理由にした差別を禁じる「障害者差別解消法」が改正された。企業や店舗などの事業者に、障害者への「合理的配慮」を義務付けた。

 可能な限り社会のバリアーを取り除く取り組みを指す。車椅子利用者にスロープを用意する。視覚障害者には書面を読み上げ、聴覚障害者には筆談用ボードなどで対応する。知的障害者には分かりやすい言葉を使うといった配慮だ。

 国と自治体に対しては、相談体制の強化を求めた。

 内閣府の調査では、障害者の相談に応じトラブルの解決を支援する組織を設置している自治体は、2019年時点で56%にとどまる。専門の相談員を置く自治体は17%に過ぎない。

 体制の不備からたらい回しにされたり、相談内容が共有されずに放置されたりすることがあってはならない。受け付けから解決まで一貫して対応する窓口を設けることが欠かせない。

 参考になるのが大阪府だ。専任の広域支援相談員を4人配置し、市町村では対応が難しい専門的な事案を担当している。

 改正法には、自治体が差別の実態を把握し、解消のための取り組みに生かすよう努めることも明記された。

 名古屋市の障害者差別相談センターは、医療や教育、サービスなどの分野ごとに、障害者が受けた差別を事例集にまとめて公表している。相談に対してセンターが取った行動や、こうした差別が起きた背景についての具体的な解説も盛り込んだ。

 一方、自治体や事業者による本格的な施設の改修や職員の研修などは義務付けられなかった。

 改正法はできたが、実際に適用されるのは「3年以内」という。自治体や事業者の準備期間が必要との理由だ。だが、東京都や兵庫県明石市は既に条例を制定し、事業者に合理的配慮を義務付けている。全国レベルでの適用を急ぐべきだ。

 障害者が暮らしやすい社会を実現するには、法律を作るだけでは十分とは言えない。障害者と周囲の人々がコミュニケーションを通じて問題を解決する取り組みこそが大事だ。今回の改正を、共生社会に向けた一歩にしたい。

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