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災害時の不明者名簿 公表へ統一基準が必要だ

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 静岡県熱海市の土石流災害で、所在が分からなかった住民の名簿を県が公開した。

 当初、家族らからの情報を基に、市は約20人の安否が未確認だと発表していた。だが、住民基本台帳を調べた結果、実際はもっと多かった。

 5日夜の時点で不明だった64人の氏名を公表したところ、翌朝までに41人の無事が確認された。

 県の担当者は慎重だったが、副知事が公表に踏み切らせた。一刻も早い救助が求められる中、ぎりぎりの判断だったようだ。

 災害時に安否不明者の氏名を公表するかどうかは、各自治体に判断が任されている。このため、過去の災害では自治体によって対応が割れた。

 2018年7月の西日本豪雨で、岡山県は発生から5日後になって、不明者51人の氏名を公表した。その日だけで33人の生存が確認された。

 一方、15年9月の関東・東北豪雨では、茨城県と同県常総市が連絡の取れない15人の氏名を明かさないまま不明者として発表したため、無事が判明した後も自衛隊による捜索が続けられた。

 氏名を公表することで、本人や家族が名乗り出れば、捜索しなければならない不明者に要員を集中できる。家族や友人が不確実な情報に振り回されずにも済む。

 ただ、氏名の公表にあたってはきめ細かい配慮が必要だ。配偶者からの暴力やストーカー行為などの被害者らは、対象から外すのが当然だろう。

 自治体がプライバシーの保護を理由として、氏名の公表を控えるケースは少なくない。個人情報保護条例は原則、本人の同意がなければ、情報を第三者に提供してはならないと規定している場合が多いからだ。

 全国知事会は6月、対応指針をまとめた。氏名公表の必要性を認めたうえで、個人情報保護の観点から配慮すべき事例を示した。慎重な自治体もあることを考慮し、一律の対応は定めなかった。

 デジタル改革関連法が成立し、国と地方でばらばらだった個人情報保護ルールが一元化される。

 人命を守ることを最優先に、政府と自治体は公表を原則とする統一的な判断基準をつくるべきだ。

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