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新型コロナ 「反ワクチン派」は何を考えているのか

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日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種をやめるようよびかける記者会見が開かれるなど、「反ワクチン」の動きがある(写真はイメージ)=ゲッティ
日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種をやめるようよびかける記者会見が開かれるなど、「反ワクチン」の動きがある(写真はイメージ)=ゲッティ

 新型コロナウイルスのワクチン接種に反対する人たちの活動が目につくようになった。「ワクチン接種を止めろ」と記者会見を開いたり、ワクチンが入った「冷蔵庫のプラグを抜こう」とネット交流サービス(SNS)で呼びかけたり――。一体どういう考えからなのだろう? 米国の医師が著した「反ワクチン運動の真実:死に至る選択」の翻訳者で、ワクチン反対運動の歴史や陰謀論に詳しい翻訳家のナカイサヤカさん(61)に聞いた。【國枝すみれ/デジタル報道センター】

自然派育児が反ワクチン派に?

 まずは取材で感じた疑問をぶつけてみる。先日、新型コロナワクチン反対集会の取材に行ったら、こぎれいな格好をした真面目そうな中年女性が多いように見えた。声高に反対を叫びそうなタイプには見えなかったが、なぜだろう。

 「彼女たちの多くは意図してワクチン反対派になろうとしたわけではないと思います。自然派育児の母親グループに入ったら、そこが反ワクチンの巣窟だったというケースも多いのです」

 ナカイさんは、かつてワクチン反対派だった米国の母親たちのインタビューを翻訳して投稿サイトで紹介している。その一人がミーガン・サンドリンさんだ。

 米国では、布おむつや母乳など育児に手間ひまかける母親のことを、クランチ・ママ(こだわり育児ママ)と呼ぶ。反対に、紙おむつや人工ミルクを利用する母親はスムーズ・ママだ。ガリガリと歯ごたえがあるという意味のクランチと、滑らかなという意味のスムーズから作られた造語だ。ミーガンさんは、自分の娘がはしかなどの予防接種を受ける時期になると、親しくしていたクランチ・ママたちに「政府の言うことはウソ。ワクチンが安全だという証拠はない」と接種を猛反対された。

 その言葉を信じたミーガンさんだったが、次第にこの母親たちがワクチンと関係のない分野の非科学的な言説を信じていることに気づき、疑念を持ち始める。2年後、接種を決心したことを告白すると、2週間で友人が50人減った。

 「(娘の)自宅出産で私を支持して褒めそやした人々、私は素晴らしい母親で、感動だと数え切れないほど話しかけてくれた人々は、まるで友達だったこともないかのように、ただ私を捨てました」

 フェイスブックのグループから除名された。「もう自然派ママを名乗れないわね」と非難され、「娘たちはひどい副作用がでて、自閉症になる」と脅された。

 ナカイさんは指摘する。「一度できた人間関係から離れるのは大変です。友達をなくし、グループからブロックされることを意味しますから」

 ナカイさんはワクチン反対派のインフルエンサーだったヘザー・シンプソンさんのインタビューも紹介している。ヘザーさんは、ワクチンに反対する人は主に、三つのタイプがある、という。陰謀論者、単純におびえている人、そして元々のワクチン反対主義者だ。全部に当てはまる人もいるし、どのカテゴリーにも入らない人もいる。ヘザーさんの場合はおびえた母親だった。「ワクチン接種後に悲惨な目にあった子どものストーリーをネットで読み続けて、すっかり怖くなってしまったのです」

 子どもが心配で、ネット検索を続ける母親が多い。どんなに偏った少数派の意見やでたらめでも、電脳空間ではそれを主張する人を簡単に見つけることができる。

すべてのワクチンを拒否する理由は?

 ナカイさんは、米国の事例は対岸の火事ではないという。「…

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