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河井事件で100人不起訴 納得できない検察の判断

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 河井克行元法相と妻の案里元参院議員が有罪判決を受けた選挙買収事件で、東京地検特捜部が、現金を受け取ったとされる100人全員を不起訴とした。

 公職選挙法は買収について、金品を渡した人、受け取った人の双方を処罰すると定めている。どちらの行為も、選挙の公正さを損ない、民主主義の根幹を揺るがすからだ。

 にもかかわらず、受け取った側の刑事責任を一切問わなかった検察の判断は、国民の納得を得られるものではない。

 渡された金額は、最も少ない人で5万円、最も多い人は300万円に上っている。

 過去には5000円で略式起訴されたケースもある。今回の判断は極めて異例だ。

 特捜部は、いずれも「受動的な立場」だったとして不起訴とした。国会議員だった克行元法相から、強引に現金を渡された人も少なくないとの判断だ。

 しかし、100人のうち40人は選挙で当選した地方議員や首長である。その他も、後援会関係者や選挙スタッフなどだ。現金を受け取ってはならないことは、選挙の「イロハのイ」だと知っていたはずである。

 実際に票の取りまとめに動いた人もいる。現金を私的な目的で使った人もいる。

 特捜部は河井夫妻を起訴した際、100人について起訴・不起訴の判断を見送った。

 夫妻は当初、無罪を主張しており、裁判では受け取った側の証言が重要だった。夫妻の1審判決が出た後での不起訴は、証言と引き換えに、刑事責任を免れる取引があったのではないかとの疑念を招きかねない。

 事件で河井夫妻は国会議員を辞職した。一方で、現金を受け取った地方議員の多くは、今も職にとどまっている。このまま不問に付されれば、「もらい得」とのゆがんだ認識が広がる懸念もある。

 菅原一秀前経済産業相が、公選法で禁じられた有権者への寄付で略式命令を受けるなど、選挙違反事件は後を絶たない。

 不正を見逃さず、公正な社会を実現するのが検察の役割だ。そのためには、国民の理解を得られるような判断が欠かせない。

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