カナダで49.6度 熱波は「人為的な気候変動が要因」 論文発表へ

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
記録的な熱波から逃れるために水を浴びる人たち=カナダ西部カルガリーで6月29日、AP 拡大
記録的な熱波から逃れるために水を浴びる人たち=カナダ西部カルガリーで6月29日、AP

 カナダで観測史上最高となる49.6度を記録し、数百人の熱中症による死者を出した6~7月の熱波は人為的な気候変動がなければ、ほぼ起こりえなかったとする分析を国際研究チームが7日発表した。「急速に温暖化する気候は、健康、福祉、生活に重大な影響を及ぼす未知の領域に突入している」と警告する。

 研究チームには、欧米の大学や気象機関から27人の科学者が参加。極端な気象現象に温暖化がどれほど影響したかを分析する「イベント・アトリビューション」と呼ばれる手法を用いた。発表によると、6月下旬~7月初旬にかけて米北西部とカナダ西部を襲った熱波は「1000年に1度の例外的なものだった」という。人為的な温暖化がなかったと仮定した場合に比べて、発生する可能性は150倍高まっていたと試算。今後、さらに分析を進めて査読付き論文として発表する予定だという。

記録的な熱波から逃れるための「クーリングセンター」を設置する慈善団体の車両=カナダ西部カルガリーで6月30日、AP 拡大
記録的な熱波から逃れるための「クーリングセンター」を設置する慈善団体の車両=カナダ西部カルガリーで6月30日、AP

 カナダ南西部リットンでは6月29日、同国史上最高の49.6度を観測し、1937年に観測された最高気温を5度近く上回った。研究グループの英オックスフォード大環境変動研究所のフリーデリケ・オットー副所長は、「最高気温を(一気に)4~5度も更新するようなことは考えられてこなかった」と話す。さらにリットンでは高温と乾燥が続いて山火事が拡大し、カナダメディアによると街の大部分が焼失した。

 カナダでは、多くの家庭でエアコンが普及していない。熱波を受け、暑さをしのぐための「クーリングセンター」などが行政機関によって設置されたが、リットンを含むブリティッシュコロンビア州では、5日間で300人以上が熱中症によって死亡したと報じられている。隣接する米北西部のワシントン州や、その南に位置するオレゴン州でも最高気温を更新した。

拡大

 今回の熱波は、地域の上空に停滞した高気圧が熱い空気をふたのように閉じ込める「ヒートドーム」と呼ばれる現象が起きたとみられている。研究グループのオランダ王立気象研究所のヘルト・ヤン・バン・オルデンボルフ氏は「熱波がより頻繁に、より激しくなることは予想されていたが、この地域でこれほどの熱波が発生したことは予想外だった」と指摘。「私たちは気候変動の致命的な影響を本当に理解しているのかという重大な疑問を投げかけられた」と話す。

 熱波は生態系にも大きな影響を及ぼした。カナダ公共放送CBCによると、ブリティッシュコロンビア州の海岸では、大量のムール貝などが死んだ状態で見つかった。異常高温が原因とみられ、現地の海洋学者はCBCの取材に対し、今回の熱波で10億以上の動物の個体が死んだ可能性があるとの見方を示した。【八田浩輔】

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の筆者
すべて見る

注目の特集