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中央大学研究開発機構・機構教授(東京大学名誉教授) 石川幹子

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石川幹子氏
石川幹子氏

今後来る震災に備える

 グリーンインフラの国土保全と地域の力  日本は、豊かな森林とその中で涵養された水が、あまねく国土を潤す美しい国です。しかしながら、多くの活断層の存在による地震、津波、襲来する台風等、災害との共存は暮らしを支える重大な課題として、多くの人びとが懸命に取り組んできました。 近年、気候温暖化に伴い、水災害が激甚化の一途をたどっています。地震・津波・水災害・新型コロナウイルスという複合災害は、日本全国のどこで発生しても不思議ではない時代に突入しています。想定外という言葉は、おそらく通用しない時代になったといえるでしょう。 このような背景を踏まえて、本稿は東日本大震災から10年の復興の歩みに学び、人口減少が進む中で、「国土保全とコミュニティの力」という二つの視点から、震災にどのように備えていくか考えていきたいと思います。

 最近、「レジリエント」という用語を耳にされていると思います。日本において防災面で使われている「レジリエントな国土形成」は、「強靭な国土形成」を意味するものとされています。しかし、「レジリエント」という言葉は、元々、「回復力のある」という意味で、災害にあったとしても壊滅するのではなく、逞しく回復していく力を有する地域やコミュニティを創っていこうという新しい考えです。

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