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中国ワクチン、拭えぬ疑問 供給国で感染拡大、別の製品追加接種

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イスラム教の聖者をまつる霊廟の前で、中国製ワクチンの接種を待つ高齢者たち=テヘランで2021年6月21日、真野森作撮影 拡大
イスラム教の聖者をまつる霊廟の前で、中国製ワクチンの接種を待つ高齢者たち=テヘランで2021年6月21日、真野森作撮影

 中国が国を挙げて新型コロナウイルスワクチンの接種を加速させている。国内の接種回数は近く中国の総人口に相当する14億回分を突破する見通し。さらに新興国や途上国にワクチンを供給して影響力の拡大を図る「ワクチン外交」も活発化させている。ただ、中国製を導入した国などではワクチンの効果を疑問視する指摘も相次ぎ、中国には逆風が強まっている。

 「『免疫の万里の長城』構築にさらに一歩近づいた」。今月4日にワクチンの接種回数が延べ13億回分を突破したことを受け、国営新華社通信はこう成果を強調した。中国国内のワクチン接種は当初、出遅れていたものの、4月以降に加速。直近では1日当たり約2000万回と驚異的な速度だ。英オックスフォード大の研究者らが運営する「Our World in Data」によると、中国国内のワクチン接種回数は、世界全体の約4割を占めるという。

 中国が同時に力を入れるのがワクチン外交だ。中国外務省の汪文斌(おうぶんひん)副報道局長は2日の記者会見で、中国がこれまでに自国製ワクチンを世界の約100カ国に計4億8000万回分以上提供してきたと説明。「中国はワクチンを『国際公共財』とみなし、国内でもニーズがある中で、できる限り国際社会にワクチンを供給してきた。その数は世界で最も多い」と強調した。

 一方で、中国製ワクチンの有効性に懐疑的な見方も出ている。米ニューヨーク・タイムズ紙は6月22日、「中国製ワクチンに頼った国は今、感染拡大と闘っている」とする記事を掲載。主に中国製を採用したチリやモンゴルなど4カ国は、人口の50~68%が接種を終えたにもかかわらず、感染が拡大し、世界で最も感染状況が悪化している10カ国に含まれると指摘した。

 ロイター通信によると、インドネシアでは中国製薬大手・科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)のワクチンの接種を受けたとみられる医療従事者350人以上が感染した。

 また仏国際放送局RFI(中国語版)によると、シンガポールはシノバックの分をワクチン接種の統計に含めていない。現地ではモデルナ製、ファイザー製の接種者は集会に参加したり公共の場所に入ったりする際に必要となる陰性証明の提示が免除されるが、シノバック製の接種者には引き続き陰性証明の提示が求められているという。当局は、感染力が強いデルタ株に対して「現時点で効果を示す科学的なデータがないため」と説明する。

 また中国製ワクチンの接種完了後に、別のワクチンの「ブースター接種」(追加接種)に取り組む国もある。いち早く中国医薬集団(シノファーム)製のワクチンを採用したアラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンでは接種が進んでも感染が収まっていない。このため、中国製ワクチンの接種が完了し、6カ月以上経過した人を対象にファイザー製のワクチン接種に乗り出した。これに対し中国外務省は、中国製ワクチンが世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに加えられていることなどを強調し、「中国製ワクチンの安全性、有効性は世界で広く認められている」と強く反発している。【岡崎英遠】

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