連載

社説

社説は日々、論説委員が議論を交わして練り上げます。出来事のふり返りにも活用してください。

連載一覧

社説

NHKの議事録開示 経営委の番組介入は明白

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 かんぽ生命保険の不正販売を報じたNHKの番組について、経営委員会で放送法に抵触しかねない批判が繰り広げられていた。

 経営委が当時の上田良一会長を厳重注意した問題だ。議事録の全面開示にようやく応じ、やりとりの詳細が明らかになった。

 問題は、毎日新聞の報道で発覚した。日本郵政経営陣の抗議を受けて、当時の石原進委員長と、委員長代行だった森下俊三現委員長が主導した。

 公開された議事録は、厳重注意があった2018年10月23日の会合など計3回分だ。

 番組は、取材過程を公開しつつ、ネットなどでも情報を募るオープンジャーナリズムの手法を取っていた。

 会合で森下氏は「ちゃんと取材になっているのか」「一方的な意見だけ出てくるという番組はいかがなものか」と批判していた。「今回の番組の取材も含めて、極めて稚拙」とも語っていた。

 放送法は、経営委員が個別の番組の編集に介入することを禁じている。経営と編集の分離を図るのが目的だ。

 森下氏の発言は、取材方法や内容に踏み込むもので、法に抵触する疑いがある。上田氏が会合で「非常に大きな問題になる」と危惧していたほどだ。

 森下氏は、会長の組織運営上の問題を指摘しただけだと強調する。しかし議事録からは、番組介入が禁じられているのを認識しながら、ガバナンスの問題にすり替えたようにしか見えない。

 全面開示を長期間渋ってきた経営委の姿勢も問題だ。

 NHKが設置する第三者機関は、全面開示を求める答申を2度出していた。

 最初の答申後、毎日新聞の情報公開請求に応じた際は、切り張りした文書を出しただけだった。

 今回は全面開示したが、2度目の答申から5カ月もかかった。国会が閉会した後であり、追及を回避するために先延ばししたと受け取られても仕方がない。

 経営委はNHKの最高意思決定機関だ。委員は国会の同意を得て、首相が任命する。

 森下氏は問題発覚後に委員に再任され、委員長となった。不適切な人事はただちに改めるべきだ。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集