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村上陽一郎・評 『あなたが消された未来』=ジョージ・エストライク著、柴田裕之・訳

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『あなたが消された未来』
『あなたが消された未来』

 (みすず書房・3960円)

現代医療と人間社会の関わり綴る

 十年ほど前から日本でも「新型出生前診断」(通称NIPT)が、社会で話題になり始めました。妊娠した母体の血液を分析することで、胎児に関する情報が色々と推定できる手法なので、これまでの胎児診断が多かれ少なかれ抱えていた、母体への危険を無視できることになったのです。ある意味では「朗報」でした。

 事の始まりは、妊娠した女性の血液中に、胎児のDNAが混入することが判(わか)ったのです。そして、アメリカのS社が、そのDNAの独特の分析法を開発したために、胎児の性別をはじめ、幾つかの情報が得られるようになりました。中でも最も重要視されているのが、トリソミーと言われる染色体異常です。ヒトの染色体は二十二の常染色体と一つの性染色体が対(二倍体)になっていますが、ときに一部の染色体が三本(三倍体)に…

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