連載

迫る

「迫る」は人物の内面を探ったり、出来事の背景を掘り下げたりする大型読み物です。

連載一覧

迫る

元俳優・高部知子さんの歩み(その1) 生きる、患者の苦しみと

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
「『生と死を見つめて』が私の原点」と話す高部知子さん=東京都港区で6月、内藤絵美撮影
「『生と死を見つめて』が私の原点」と話す高部知子さん=東京都港区で6月、内藤絵美撮影

 看護師から「抱っこしてもいいですよ」と促されて両腕で長女を抱きしめると、とても温かかった。生後わずか2カ月の長女の心臓には重い疾患があった。出産翌日から面会はできず、小さな体に負担をかけてはいけないと抱っこさえ医師から止められていた。

 1991年8月、東京都内の病院。元俳優の高部知子さんは手術室前にいた。23歳の母は、我が子の重さを感じ喜びをかみしめた。

 そう思えたのも一瞬だった。とてつもない恐怖感に襲われた。「手術が終わった後にこの手に抱くのは娘の遺体かもしれない。ぬくもりのある体を抱いているのはこれが最後なのかもしれない」。医師からは難しい手術だと聞かされており、娘はまさに生きるか死ぬかという境界に立たされていた。

この記事は有料記事です。

残り1832文字(全文2146文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集