農村交付金制度が地域の分断を生むのはなぜか 識者2人に聞く
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農村の維持が目的の一つであるはずの中山間地域等直接支払制度で、交付金の使途や配分を巡るトラブルが相次ぎ、一部で集落の分断を引き起こしている実態が明らかになった。中山間地域の実情に詳しい識者2人に聞いた。【聞き手・浅川大樹】
持続可能な農村社会へ岐路
図司(ずし)直也・法政大教授(農村政策論)
――今回の問題をどう受け止めていますか。
◆制度開始から20年たち、農村では世代交代や他地域からの移住などで地域社会の構造がかなり変化している。その中で、昔のまま閉鎖的だったり、年配者の発言が強かったりする集落では、制度の趣旨が共有できていないのではないかと気になっている。農村はすでに農業をやっている人だけが住んでいる場所ではなく、開かれた農村を作っていくうえでもこの制度は重要だ。農村社会が制度をうまく活用して持続可能な形にできるのか、それとも閉鎖的な農村社会として世代交代が進まず地域の担い手が途切れてしまうのか、まさにその岐路に立っている。
――交付金の使い道をチェックする自治体側からは「人手不足で限界」などの声も上がっています。
◆役場担当者の人手不足は重大な問題だ。(問題が確認された)大分県宇佐市や竹田市は広域合併した自治体だが、農政担当者はそれほど増えていない可能性がある。1人が担当する集落が多くなり、どこまで現地の詳細を把握できているのか疑問だ。行政の現場力低下をどうカバーするかは制度を担保する意味で欠かせない視点だ。
――具体的な…
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