米中、日中 新たな2国間関係どう築く 宮本元中国大使に聞く

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宮本雄二・元中国大使=東京都港区で2017年9月19日、長谷川直亮撮影
宮本雄二・元中国大使=東京都港区で2017年9月19日、長谷川直亮撮影

 日本が国際会議などを通じ、中国に厳しく対峙(たいじ)するバイデン米政権と歩調を合わせ、中国をけん制する場面が目立ち始めている。覇権主義的な動きを強める中国との決定的な衝突を避けつつ、米中、日中の双方の関係を安定化させていく道はあるのか。新たな2国間関係をどう模索していくべきか。2010年まで駐中国大使を務めた宮本雄二氏(75)に尋ねた。【聞き手・飼手勇介】

米中、重要な5~10年の危機管理

 ――バイデン米政権発足後、日米首脳会談、主要7カ国首脳会議(G7サミット)など、名指しで中国を批判する国際会議が続いた。中国は、厳しい対中姿勢を示すバイデン政権をどう評価しているとみていますか。

 ◆非常に手ごわい相手が登場したと思っているでしょう。トランプ前大統領の時代は「最後はお札を積めば物事が解決する」という側面もあったが、バイデン政権は安全保障や(新疆ウイグル自治区の人権問題などの)価値観の問題など総合的な対中政策を打ち出してきている。

 米国は「優しい顔」と「怖い顔」の二つの顔を持っているが、今の中国中枢を担う人は、「優しい米国」としか付き合った経験がない。少し観測が甘かったのではないか。

 日本は「怖い米国」を(1980年代の)日米貿易摩擦などで経験した。一度、競争相手と認定すれば、簡単に打ち止めにしない怖い米国に中国は少し驚いてもいるでしょう。どうバイデン政権と付き合うかについて、今も議論が続いているのでしょう。

 ――1日の中国共産党の結党100年式典では、習近平国家主席が「教師面した偉そうな説教は受け入れない」などと対抗姿勢を強調する演説をしたが、どうみていますか。

 ◆今回の発言で中国の対米政策を評価するのは時期尚早だ。習氏は5月末、国際社会での中国のイメージを改善するため、対外広報の手法などの再検討を指示したが、今回は国内向けに強い姿勢を示すことが政治的に正しいという判断があったのだろう。

 ――米中関係が安定していくにはどのような過程が必要になるのでしょうか。

 ◆バイデン政権の対中政策の肝は、競争と協力の関係のもとでの平和共存です。米高官は「当面は競争に重点を置く」と表明している。米側にも来年の中間選挙や議会対策上、そうしなければならない事情がある。

 中国も米国と正面切ってけんかするつもりはないが、自分たちの核心的利益を米国が押さえつけようとすれば断固として抵抗する、との方針は変わっていない。そうすると、必ず両国が軍事や経済でぶつかることになるが、ぶつかれば…

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