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中国の南シナ海進出 独善的行動が緊張高める

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 国際ルールに背を向けた独善的な行動を続けていては、責任ある大国とは言えまい。

 南シナ海の大半に権益が及ぶとする中国の主張が、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所によって全面的に退けられてから5年が過ぎた。中国政府は判決を「紙くず」と呼んで無視している。

 裁判は、南シナ海を巡って領有権を争うフィリピンが起こした。2016年7月12日の判決は、南シナ海で中国が独自の境界線とする「九段線」に法的根拠がないと判断した。

 国際社会は両国に判決を尊重するよう促した。しかし、中国はその後も域内に爆撃機やミサイルを配備し、軍事演習を重ねてきた。公船や漁船まで動員して実効支配を固めようとしている。

 こうした力の行使に加え、東南アジア諸国との経済的な結びつきを利用し、アメとムチで判決の空文化を狙っている。

 フィリピンが親中路線のドゥテルテ政権に交代すると、巨額の経済協力を提示して紛争の棚上げを図った。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)とは南シナ海の紛争解決に向けた規範を策定すると言うが、域外国の関与を制限する条項を求めるなどして、主導権を握ろうとしている。

 懸念されるのは、中国の強引な振る舞いによって地域の緊張が高まる事態だ。日本など近隣諸国だけでなく、国際社会に危機感が広がっている。

 米国は南シナ海で、海軍による「航行の自由」作戦を繰り返している。英仏なども艦艇を派遣して関与を強めている。

 中国が海警局の権限を強化する法律を施行したことも、各国の警戒心に拍車をかけた。

 領海外を含む広い海域で、海警局が外国の艦船を強制退去させることができると定めた。国際法を逸脱しており、米軍などとの偶発的な衝突を引き起こしかねない。

 南シナ海は、世界の貨物の約3分の1が行き交う海上交通の要衝であり、日本を含む多くの国の利害に関わる。

 習近平指導部は行動を自制し、地域の安定に努めなければならない。それが大国としての役割のはずだ。

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