政府も危機感 空自トップに聞く宇宙の安全保障 その行方は…

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
毎日新聞のインタビューに答える井筒俊司・航空幕僚長=東京都新宿区の防衛省で2021年7月1日、丸山博撮影
毎日新聞のインタビューに答える井筒俊司・航空幕僚長=東京都新宿区の防衛省で2021年7月1日、丸山博撮影

 「安全保障の在り方を根本から変えようとしている」。政府が2018年末に閣議決定した「防衛計画の大綱」で危機感を打ち出したのが、宇宙などの新たな領域の軍事利用の拡大だ。各国がしのぎを削る舞台で日本はどう対応すべきか。航空自衛隊に「宇宙作戦隊」が発足して1年余。空自トップの井筒俊司・航空幕僚長に単独インタビューし、現状と課題、国際協力について聞いた。【松浦吉剛】

「衛星が攻撃対象」に現実味

――宇宙の軍事的利用の歩みを振り返って重要なポイントは。

 宇宙が戦闘に初めて本格的に活用されたのが、湾岸戦争(1991年)だった。米軍の精密誘導兵器やデータリンクによる情報共有、戦闘機が敵のレーダーに捕捉されにくくするステルス性能が戦争の様相を変えたとされる。精密誘導兵器を支えるのが、GPS(全地球測位システム)に他ならない。衛星技術は、砂漠のような地図に頼れない場所での部隊の迅速な展開や通信手段の確保につながった。イラク戦争(03年)で進化と深化を遂げた。二つの戦争は衛星の有効活用の点でエポックメーキングだった。

――宇宙利用の脅威とは。

 航空機が戦場に登場した当初は主に偵察で使われ、航空機同士の戦いは発生しなかった。現在の衛星の利用はその段階に近い。その後、航空機同士の戦いが始まり、航空管制するレーダーへの妨害も発生した。今まさに、宇宙空間の安定的な利用へのリスクが高まっている。中国による衛星破壊実験(07年)で、衛星そのものが攻撃対象になり得ることが現実になった。中国やロシアは対衛星兵器として、…

この記事は有料記事です。

残り2656文字(全文3306文字)

あわせて読みたい

この記事の筆者
すべて見る

注目の特集