黒い雨訴訟「長生きして良かった」命の限り闘う83歳原告の思い

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
控訴審判決を受け、感想を語る原告の旨行勉さん=広島市中区で2021年7月14日、山田尚弘撮影
控訴審判決を受け、感想を語る原告の旨行勉さん=広島市中区で2021年7月14日、山田尚弘撮影

 司法は再び、「黒い雨」に遭った原告全員を被爆者と判断した。14日に言い渡された広島高裁の控訴審判決。原告や支援者らは1審の広島地裁判決よりも踏み込んだ内容を歓迎した。

 「6年間、正しいことだけを訴えてきた。それが裁判所に伝わった。今日はええ日じゃ」。原告の旨行(むねゆき)勉さん(83)=広島市安佐北区=は法廷の原告席に座り、補聴器を着けて西井和徒裁判長の声に聴き入った。閉廷後、支援者に「全面勝訴」と聞き、ようやく笑みをこぼした。「ああ、良かったのう。長生きしてよかった」。原告らと肩をたたいて喜び合った。

 2020年7月の1審・広島地裁判決後、人生で3度目の心筋梗塞(こうそく)に倒れ、3カ月の入院。リハビリ中だが、「事実が認められるか、わしの命が先に尽きるか。結論が出るまで死ぬわけにはいけん」との思いで、この日の法廷にも足を運んだ。

この記事は有料記事です。

残り899文字(全文1270文字)

あわせて読みたい

ニュース特集