宝塚専科・轟悠の36年 「まとっている空気まで」極めた男役

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退団公演に臨んでいる轟悠=兵庫県宝塚市で2021年6月30日午前11時16分、代表撮影
退団公演に臨んでいる轟悠=兵庫県宝塚市で2021年6月30日午前11時16分、代表撮影

 “トップ・オブ・トップ”が今秋、宝塚歌劇団を静かに去る。特別顧問で専科の轟悠。入団以来36年、王道の二枚目から狂気の犯罪者、リアリズムを追求した歴史上の人物と自在に演じ、新しい男役像を切り開いてきた。7月に始まった退団公演「婆娑羅(ばさら)の玄孫(やしゃご)」には「感傷にひたるより、下級生に学んできたものを渡したい」と臨み、後輩の道しるべであり続けている。見る者から「まとっている空気まで男役として完結していた」とも言われるほど極めた芸の道を振り返りたい。【反橋希美】

「プレゼントをいただいた公演」

 作品は星組公演。室町幕府の設立に活躍し、文化芸能に精通したことから「婆娑羅大名」と呼ばれた佐々木道誉(どうよ)の血をひく男の波乱に満ちた人生を描く。

 時は江戸時代、道誉の子孫である細石(さざれいし)蔵之介(轟)は、長屋で子どもたちに学問や剣術を教えて暮らしていた。父に突然廃嫡されたため、佐々木高久という本名を名乗れずにいたが、非凡な才能と義に厚い人柄で長屋の人気者。ある日、佐々木家がお家断絶の危機にあるという知らせが届き、運命が動き出す。

 作・演出は、轟の初舞台も手がけた植田紳爾(しんじ)。轟は「植田先生の作品で退団したいと思っていたが、現実になり、びっくりした」と言う。…

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