なぜ彼女は夢を諦め「うんこ」を語り出したのか 車いすYouTuber

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中嶋涼子さん=東京都で2021年4月16日、藤井太郎撮影
中嶋涼子さん=東京都で2021年4月16日、藤井太郎撮影

 その動画の再生回数は35万回に上る。「車いすユーチューバー」の中嶋涼子さん(35)。彼女の口から語られるのは自身の排せつ障害の話だ。

 下半身にまひがあり、便意を感じない。おへそから下に力が入らないので自力で排便ができない。便秘状態が3日以上続くと腹痛などでつらくなるので、排便は週2回と決めている。

 便をする日は事前に決めておく。前の晩に下剤を6錠飲み、翌日、手袋をして便をかき出す。たまった便は一度に全て出ない。いつ出るかもわからないので時間がかかる。その日は1日の大半をトイレで過ごすことになる。

 中嶋さんはこの日を「UD」と呼んでいる。

 「みなさん、UDを覚えてくださいね!」。カメラに向かってほほえむ。「うんこデー、略してUDです。ユニバーサルデザインじゃないですよ」

 なぜ、彼女は「うんこ」を語り出したのか――。そこには長い物語がある。【五十嵐朋子/東京社会部】

9歳の時、鉄棒で遊んでいると…

 体を動かすのが大好きな子どもだった。しかし、9歳のある日を境に生活は一変する。

 その日もいつものように、休み時間に友達と校庭で遊んでいた。鉄棒に両ひざを掛けてぶらさがる「こうもり」を誰が一番長くできるか競争していた。

 ジャンプして着地したときだった。足に力が入らない。気持ちが悪くなって座り込んだ。友達に抱えられるようにして保健室へ行った。座ったいすから立ち上がることが…

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