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舞台芸術とアーカイブ/上 「誰に手渡す」明確なビジョンを=維新派アーカイブス・清水翼

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これまでに9作品分が製本されている維新派の上演台本=大阪市住之江区のカンカラ社で2021年7月11日、森田真潮撮影
これまでに9作品分が製本されている維新派の上演台本=大阪市住之江区のカンカラ社で2021年7月11日、森田真潮撮影

 劇団維新派は1970年に大阪で活動を始め、世界各地で野外公演を続け、主宰の松本雄吉が亡くなった後、2017年に解散した。舞台芸術をアーカイブする時、再演することも考え方の一つだそうだが、公演ごとに野外劇場を建ててきた維新派において、戯曲や演出、振り付けの記譜など、舞台上の構成要素だけを残すことは本質的なのか、劇場を作る技術や工程、集団としての在り方はどうアーカイブするのか疑問が浮かび、そもそも、旅芸人のように漂流し、公演後は何も残さなかった我々が、解散後に資料を残すことに矛盾も感じていた。松本自身も、創作と記録は別と考え、自身の活動においては、残さないことにこそある種の美学を持っていただろうと推測する。

 しかし、自分たちが今、資料を手放せば消失してしまう。ある美術作家の遺族が、故人は処分を望んでいたにもかかわらず、アトリエやアーカイブを残し一般公開した例も知って、最後には私たちで考えて残すことに決めた。

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