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国境越えるデータ 利用者本位のルール必要

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 デジタル化が進み、大量のデータが国境を越えて収集・活用されるようになった。これに伴い、個人情報流出への懸念や、政府によるデータの囲い込みといった問題も表面化している。

 無料通信アプリ「LINE(ライン)」や楽天のサービスでは、中国の拠点や提携先を通して個人データが流出するリスクが指摘された。

 データは「21世紀の石油」と呼ばれる。適切に使えば、人工知能(AI)を活用した診療や自動運転といった暮らしやビジネスの発展につながる。

 問題は、プライバシーに関する考え方や制度が国や地域で異なることだ。保護意識の低い国にデータを移せば、個人情報が守られなくなる。

 とりわけ、政府が民間のデータを強制的に取得する「ガバメントアクセス」への懸念は強い。中国は、企業や国民に情報収集活動への協力を義務づけている。

 米国への不信感も根強い。欧州司法裁判所は昨年、域内から米国にデータを移転する取り決めの一部を無効と判断した。米政府による情報収集でプライバシーが侵害される疑念を拭えないためだ。

 事件捜査やテロ対策のための情報収集は一定程度容認される。しかし、ルールや規律を欠けば、国民の信頼を失う。

 手続きの透明性向上や独立した監督機関の設置といった対策を各国で進めることが欠かせない。

 産業保護や安全保障を優先し、国や地域ごとにデータを囲い込む動きにも注意が必要だ。

 中国では、企業に厳格なデータ管理を求める法律が成立した。米国への流出を警戒し、一部アプリの使用を制限するなど締め付けを強めている。

 データはデジタル社会の重要な経済基盤だ。保護主義的な動きが広がれば、革新的なサービスは生まれにくくなる。

 日本は、安全を確保した上で自由にデータを流通させる仕組みを提唱している。どのようにして政府のデータ収集を規制し、個人情報を守るか、課題は多い。

 データの活用とプライバシー保護を両立させる国際ルールの構築に向け、利用者本位の視点で議論を進めなければならない。

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