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あまり知られていない観光スポットや地元で人気の食べ物を、現地で勤務する支局長が紹介。47都道府県を巡ります。

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秘密のグルメ 福岡県 「北九州発祥・鉄なべ餃子」 北九州市文化大使・作家 町田そのこさん

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焼き上がった鉄なべ餃子。外側はさくっと歯ごたえがあり、中はもちもちで肉汁がたっぷり 拡大
焼き上がった鉄なべ餃子。外側はさくっと歯ごたえがあり、中はもちもちで肉汁がたっぷり

肉汁じわっ、食欲刺激

 福岡県の秘密グルメは北九州市文化大使の作家、町田そのこさんお勧めの「鉄なべ餃子(ギョーザ)」。八幡製鉄所で栄えた鉄都、北九州市が発祥とされています。町田さんの寄稿です。

火力の異なるコンロが並ぶ「小倉鉄なべ総本店」の調理場=北九州市小倉北区魚町で2021年6月23日午後4時33分、上入来尚撮影 拡大
火力の異なるコンロが並ぶ「小倉鉄なべ総本店」の調理場=北九州市小倉北区魚町で2021年6月23日午後4時33分、上入来尚撮影

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鉄鍋の上で熱々に焼かれる餃子=北九州市小倉北区魚町で2021年6月23日午後4時27分、上入来尚撮影 拡大
鉄鍋の上で熱々に焼かれる餃子=北九州市小倉北区魚町で2021年6月23日午後4時27分、上入来尚撮影

 コロナ禍によってご無沙汰であるが、北九州市の小倉駅から魚町銀天街あたりでお酒を飲むのが好きだ。若い頃から知っている空気というのがいいのだろう。なくなった店、新しい店様々(さまざま)だし、様相も変わってきたが、それでも足を向けたいと思う。

 街も変化しているが、私自身も変わった。かつては甘いカクテルなど飲んでいた気もするが、いつの間にかビール党に。脂たっぷりの料理をお腹(なか)いっぱい、というのが、吟味された美味(おい)しいものをほんの少し、に変わった。この理由は体重の大増加によるもので、なので容姿という点でもばっちり変化している。

北九州市中心部にある赤いのれんが目印の「小倉鉄なべ総本店」=北九州市小倉北区魚町で2021年6月23日午後5時、上入来尚撮影 拡大
北九州市中心部にある赤いのれんが目印の「小倉鉄なべ総本店」=北九州市小倉北区魚町で2021年6月23日午後5時、上入来尚撮影

 すべてのものは変わりゆく、などと感慨深いことを思うわけだが、しかし変わらないもの、変えたくないものがある。

 小倉で美味しいお酒を飲んだ〆(しめ)には、鉄なべ餃子を食べる。

 ひとしきり飲み食いをした後なのに、熱い鉄板の上に乗った餃子を見ると食欲が刺激される。猫舌なくせに熱々を頰張ってしまい、冷えたビールで口内を洗い流すのは毎度のことだ。

 小ぶりの餃子は皮がかりかりしていて、嚙(か)むと肉汁がじわっと溢(あふ)れる。私はラー油をたっぷり入れたたれにつけるのが好きだ。ビールの味がぐっと引き立つ。

 『52ヘルツのクジラたち』という作品で小倉を描いたときに、主人公たちにも食べてもらった。餃子を頰張る彼らを想像するだけで、作品世界がぐっと私に近づいてきた気がして、嬉(うれ)しかった。


次回は宮城県です

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 ■人物略歴

町田そのこ(まちだ・そのこ)さん

 1980年生まれ、福岡県在住。2016年に「女による女のためのR―18文学賞」大賞を受賞し翌年デビューした。「52ヘルツのクジラたち」で2021年本屋大賞。北九州市を舞台にした「コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店」などの作品がある。

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