斎藤元彦氏「身を処す」自民と維新の支持層取り込み 兵庫知事選

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当選が確実となり、喜ぶ斎藤元彦氏(右から2人目)=神戸市中央区で2021年7月18日午後8時8分、木葉健二撮影 拡大
当選が確実となり、喜ぶ斎藤元彦氏(右から2人目)=神戸市中央区で2021年7月18日午後8時8分、木葉健二撮影

 18日投開票された兵庫県知事選で初当選した元大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)は若さと穏健な改革路線を訴え、相乗りで推薦を受けた自民党と日本維新の会の支持層を取り込んだ。街頭演説では維新がキャッチフレーズとする「身を切る」ではなく、「身を処す」とするなど表現を巧みに使い分けた。当選確実の一報を受けた斎藤氏は「新たな手法で、禅譲型が続いてきた県政を刷新し、新しい兵庫をつくっていく」と語った。一方、元副知事の金沢和夫氏(65)は維新を警戒する県内勢力の結集を目指したが、5期20年務めた井戸敏三知事(75)の後継者のイメージを払拭(ふっしょく)できなかった。

 斎藤氏は、1995年の阪神大震災からの復興施策をけん引した井戸氏について「大変素晴らしい」と持ち上げたものの、近年の県政運営を批判。新型コロナウイルスへの対応や公用車を最高級車のセンチュリーに乗り換えたことを挙げ、「県民の意識と乖離(かいり)した県政を続けてはいけない」と強調した。

 改革の中身は、維新への警戒心が根強い自民支持層を意識して表現を工夫した。街頭演説では「福祉が切られる、保育が切られる、地域が切られる、絶対にそんなことはしない。誰一人取り残さない」と強調。退職金や給与のカットは維新が多用する「身を切る」を使わず、「身を処す」と言い換えた。一方で維新支持層が分厚い阪神地域では、維新副代表の吉村洋文・大阪府知事との街頭演説で「しがらみでやめられない事業がある。徹底した行財政改革を行う」と踏み込んだ。

 維新は、斎藤氏の選挙運動では政党色の緑ではなく、斎藤陣営がシンボルカラーとする青色のポロシャツを着用。自民から配分された斎藤氏との選挙運動の日程が限られたことが維新色を薄めることになり、幅広く兵庫県民に浸透した。

 金沢氏は3月24日の出馬表明で「知事は固有名詞のついた形で継承するものではない」と、副知事として11年間補佐した井戸氏の後継者との見方を否定した。一方で、同じ日に井戸氏は自身の後援会役員らに金沢氏の後援会組織の結成を依頼しており、選挙は井戸氏頼みが実情だった。記者会見や公開討論会で「私はトップダウンではない」「センチュリーには乗らない」と井戸氏との違いを強調。ただ、質問に答える形での発信にとどまり、支援する県議から「もっと積極的に言ったほうが良い」と物足りなさを指摘する声もあった。

 金沢氏は政党推薦を受けない「県民党」を掲げ、「私は兵庫の候補者。大阪、東京の候補者であってはならない」と大阪対兵庫の構図を力説した。街頭演説では地域の課題や特徴を盛り込み、県政への精通ぶりをアピール。自民党県議団や立憲民主、国民民主の県議らも参加して反維新勢力の結集を目指した。だが、陣営幹部から「井戸氏の人気がもう少し安定していれば」との声が漏れるなど、県政の長期運営に変化を求める有権者の心をつかみきれなかった。

 命と暮らしを守る県政への転換を訴えた元兵庫県議の金田峰生氏(55)=共産党推薦=のほか、元同県加西市長の中川暢三氏(65)と音楽塾経営の服部修氏(47)の計3人も及ばなかった。【宮本翔平、井上元宏】

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