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安倍氏肝いりの北極海プロジェクトに異変 揺らぐエネルギー安保

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氷に閉ざされた北極海航路を航行する「砕氷LNG船」。北極海も地球温暖化による融氷で、ビジネスの場に変わりつつある=商船三井提供
氷に閉ざされた北極海航路を航行する「砕氷LNG船」。北極海も地球温暖化による融氷で、ビジネスの場に変わりつつある=商船三井提供

 地球温暖化で氷が少なくなったことで新たな海上輸送ルートとして世界が注目する北極海航路。新ルートで液化天然ガス(LNG)を輸出するロシア肝煎りのプロジェクト「アークティックLNG2」に参画する日本企業から先行きを危ぶむ声が出てきた。米国や中国など大国の思惑も絡む氷の世界のLNG争奪戦。その舞台裏を追った。【岡大介、竹地広憲、大貫智子】

逃げたイタリア、日本はどうする?

 それは日本の関係者にとって悪い知らせだった。6月末、イタリアの銀行ウニクレディトがアーク2の協調融資から撤退する意向を文書で示したのだ。「日本勢も再調整が必要だ」。関係者の一人はうめくようにつぶやいた。

 アーク2はロシアのガス大手ノバテクを中心とする共同企業体(JV)が北極海ギダン半島に採掘施設を建設し、2023年から年間最大1980万トンのLNGを生産する計画。安倍晋三前首相とロシアのプーチン大統領の前で契約の調印が行われるなど、日露の「互恵的経済協力」を象徴する政治色の濃いプロジェクトだ。

 中国やフランスの石油会社のほか、日本からは三井物産や独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)などが参画。日本勢は権益の10%を得ることになっている。

 関係者によると、ウニクレディトが撤退する理由は環境問題。石炭などより二酸化炭素(CO2)排出量が少ないLNGはクリーンエネルギーと言われてきたが、燃焼すればCO2は出る。気候変動対策が加速する欧州ではLNGに融資する銀行への風当たりも強まっている。

 アーク2の総事業費は約2・5兆円。ノバテク、三井物産、中国の石油大手2社、仏トタルの出資で賄うほかに、1兆円強を日本、欧州、ロシア、中国の銀行融資などで調達する。日本は国際協力銀行(JBIC)と複数の民間大手行が2000億円規模を協調融資する方向で調整している。しかし、ウニクレディト撤退の一報を受け、「西側諸国の銀行が参加しなければ、リスクが大きい」(銀行幹部)との声が浮上している。

 日本勢の懸念は環境問題ではない。米露を取り巻く政治リスクだ。ロシアのクリミア半島編入や…

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