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宇宙旅行時代の幕開け 新たな価値観生まれるか

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 宇宙旅行時代の到来が現実味を帯びてきた。

 米ベンチャー「ヴァージンギャラクティック」が、有人宇宙船の試験飛行に成功した。宇宙と大気圏の境界付近の高度86キロに達し、乗員たちは数分間の無重力状態を体験した。

 米連邦航空局は今年6月、商業宇宙旅行の許可を与えている。今後、試験飛行を重ね、来年にもサービスを始めるという。

 米国の別のベンチャー「ブルーオリジン」も、宇宙旅行のために開発した有人宇宙船を近く打ち上げる計画だ。

 これまで宇宙に行けるのは、各国で選抜され、厳しい訓練を受けた飛行士らに限られていた。ヴァージン社などのサービスによって、一般の人たちに扉が開かれる。飛行時間は短いが、数日間の訓練で参加でき、手軽に宇宙を体験できるようになる。

 宇宙旅行ビジネスの市場規模は、2040年には10兆円に達するとの試算がある。宇宙と行き来する技術は、超高速旅客機への応用など、イノベーションにつながると期待される。

 日本企業も参入を目指している。宇宙船が発着する「宇宙港」の建設計画もある。今年5月には、官民で宇宙船の開発を推進する協議会が発足した。

 ただし、課題も多い。

 まず搭乗費用が高額なことだ。ヴァージン社の場合、1人25万ドル(約2750万円)とされる。

 宇宙船の安全基準や運航のルールもない。このため、ヴァージン社のケースでは、事故が起きても損害賠償を求めないことが搭乗の条件になっている。

 一方、人々が抱く宇宙への夢に近づく一歩でもある。ヴァージン社の創業者、リチャード・ブランソン氏は試験飛行後、「宇宙から見た地球は圧巻だった」と話した。

 新たな価値観をもたらす可能性も秘めている。宇宙から地球を見たことによって、環境問題や平和に対する考え方が変わったと語る宇宙飛行士は多い。

 これまでの宇宙開発は、国が主導し、各国の覇権争いや安全保障に主眼が置かれてきた。今後、宇宙旅行を体験する人が増えれば、宇宙利用のあり方が変わっていくかもしれない。

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