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五輪「バブル方式」に穴 主催者の危機意識足りぬ

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 東京オリンピックの新型コロナウイルス感染対策として採用された「バブル方式」の欠陥が相次いで表面化している。

 移動や宿泊の際に選手らを外部と遮断した環境に置き、感染から守る仕組みだ。昨年以降、主な国際競技大会で実施されてきた。

 今大会に出場する選手や関係者には国際オリンピック委員会(IOC)からワクチンが提供され、選手村に入る約85%が接種を済ませて来日するという。

 ところが、開幕を間近に控え、バブルの「穴」が目立っている。

 ワクチン接種や陰性証明を受けたはずのウガンダ選手団から空港検疫で1人の陽性者が出た。その他の選手が事前キャンプ地へ移動した後、別の感染者が判明した。

 出迎えの市職員やバスの運転手は濃厚接触者と判定された。さらに、陰性だった選手が宿泊先から抜け出して行方不明となった。

 選手村でも「バブル方式」は完全ではない。サッカー男子の南アフリカ代表チームから複数の感染者と濃厚接触者が確認された。

 対策のほころびが次々と明らかになる中、主催者からは危機意識を欠いた言動が続いている。

 IOCのトーマス・バッハ会長は先週、菅義偉首相に対し、感染状況が改善すれば「有観客」を検討してほしいと申し出たという。

 無観客を決定したばかりだ。東京都は8月下旬まで緊急事態宣言下にあり、感染状況は予断を許さない。あまりに楽観的すぎる。

 バッハ氏は耳を疑う発言を繰り返している。「日本の方たちに対するリスクはゼロといえる」「日本の方は大会が始まれば歓迎してくれる」。現状を甘く見ていると言わざるを得ない。

 南アの例では同国オリンピック委員会の発表まで、大会組織委員会は国籍や詳しい症状を公表しなかった。公衆衛生の観点からも透明性のある情報公開が不可欠だ。

 組織委は東京・迎賓館にバッハ氏ら約40人を招き、歓迎会を催したが、会場の外では抗議デモが繰り広げられた。国民が会合や会食を自粛しているさなかだ。批判されても仕方がない。

 IOCや組織委は感染状況や国民感情に配慮し、丁寧な大会運営を心がけなければならない。今の姿勢では、不安が増すばかりだ。

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