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本郷 和人・評『お寺の日本地図』鵜飼秀徳・著

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地域に生きるお寺と仏像のあるべき姿とは

◆『お寺の日本地図 名刹古刹でめぐる47都道府県』鵜飼秀徳・著(文春新書/税込み1100円)

 私は子どもの頃から日本史が大好きだった。その淵源(えんげん)はおそらく小学校四年生になる前の春休みの奈良旅行に求められるようで、薬師寺の東塔や興福寺の阿修羅像など、千年以上昔の美が瞬時に私を虜(とりこ)にした。やがては自身で全国の寺院を訪問することが何よりの楽しみになり、今もそれは変わらない。

 そうした私は、長いあいだ、ある疑問を抱えてきた。それは、なぜ仏教芸術は衰えたのか、ということである。彫刻では鎌倉時代はじめに運慶という天才が現れたものの、やはり古代の仏像の方が美しい。寺院建築も同様である。江戸時代にはたくさんの仏像が彫られ、各地にお寺が建てられた。だが、「天平の美」に比肩する像容は皆無であるし、建物は安価な建売住宅のようで個性に乏しい。

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