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浜崎洋介、古川勝久、上田岳弘、長島有里枝、小田島恒志、マヒトゥ・ザ・ピーポーの各氏が交代でつむぐコラム。

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雨に打たれて=マヒトゥ・ザ・ピーポー(ミュージシャン)

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 何もやる気が起きない日というのはある。ただ、不安定な気候に乱されることが仕事の人間のように外を見ながら、雨風が窓を叩(たた)くのを見て梅雨を満喫する。これを仕事なんて言ったら怒られてしまうだろう。誰に? 誰かに。

 久しぶりの友人から「元気?」と連絡が来たので正直に「別に元気ないよ」と返すと「元気をわけてあげたい」と言われるが、この表現は最初から間違っている。元気はわけられるものではなく、湧いてくるものだ。この手の言い回しをする元気の押し売りタイプは経験上、笑いながら靴底で花を踏んでいることが多い。

 テレビで元気タレントを見ると、その笑顔が放つ朗らかな印象よりも嫌な意味でプロフェッショナルとしての気概が先立ち、もはやこちらは笑えない。むしろその持ち上がった頰の筋肉の微妙な詳細が心配になってしまう。元気なんていつもなくてもいい。ただ、ちゃんと呼吸しそこに存在するだけで。

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