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熱海土石流

2021年7月2~3日、東海や関東甲信越地方で激しい雨が降りました。静岡県熱海市では土石流が発生、捜索が続いています。

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熱海土石流、実態解明どこまで… 盛り土の所有者変更などネック

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土石流が発生した起点の周辺。立ち入り規制が続くため、報道陣が取材で近づいたのは発生後初めて=静岡県熱海市で2021年7月21日午前10時53分、渡辺薫撮影 拡大
土石流が発生した起点の周辺。立ち入り規制が続くため、報道陣が取材で近づいたのは発生後初めて=静岡県熱海市で2021年7月21日午前10時53分、渡辺薫撮影

 静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で3日に発生した土石流災害で、崩落した土砂の総量の97%は土石流の起点周辺に造成された盛り土だったことが、県の推計で判明した。県は盛り土が被害を拡大させたとの見方を強め、原因を調べている。国土交通省は21日、起点周辺で実施する砂防ダム工事の様子を報道陣に公開した。

 段差のついた盛り土があった場所は大きくえぐれ、流れた土砂の痕跡は斜面の下方へと続く。取材に同行した国交省の担当者は「大変な災害だ」と述べた。

 盛り土は海岸から約2キロの逢初(あいぞめ)川最上部に位置していた。一帯の土地は2006年に神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)が取得し、盛り土を造成した。土地は11年2月に東京の企業グループ前会長に売却された。

 盛り土の大半はこの間に造成されたとみられ、建設残土とされる。県は崩落した土砂の総量は5・5万立方メートルで、うち直前まで周辺にあった盛り土は5・4万立方メートルと推計。盛り土の総量は7・4万立方メートルとみる。不動産管理会社は盛り土の高さを15メートルと市に届け出たが、県は3倍超の52メートルあったとしている。

 県は複数回にわたり難波喬司副知事が記者会見に臨み、長雨の蓄積と違法な盛り土が惨事を招いたとの見解を示している。7日には土石流のメカニズムを探るチームと、県や市による適切な行政指導があったかを検証するチームを設置した。

 盛り土への不信感は地元でくすぶる。ある市議は「08年ごろ、たくさんのダンプが通っていた。住民の苦情もあった」と明かす。

 市などによると、不動産管理会社が市内に所有する土地ではたびたび土砂を巡るトラブルが発生。07年に今回の起点の近くにある山林の土砂が崩れ、周辺に水を供給するタンクの一部が土砂で埋もれた。12年には別の宅地開発工事現場で土砂が崩落し、墓地や民家の敷地に流入した。いずれも会社側は原状回復などに協力しなかったという。

 毎日新聞は会社側に取材を申し込んだが、21日時点で回答は得られていない。県は関係者に聞き取りを実施したい考えだ。

 熱海市は21日、20日に見つかった遺体の身元について、この地区に住む坂本玲子さん(87)と発表した。死者は19人、行方不明者は8人となった。【金子昇太、渡辺薫、野呂賢治、太田圭介、井口慎太郎】

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