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プロゲーマー兼タレントの「二刀流」で活躍する18歳、大友美有さん。毎日新聞社などが主催する全国高校eスポーツ選手権では、N高校(通信制)の主力メンバーとして、2019年の第2回から2連覇を成し遂げた。今年3月にN高を卒業した大友さんが歩んできた道のりを通し、eスポーツの魅力に迫った。【聞き手・杉本修作】
高校eスポーツ選手権に出場したくてN高に転校
大友さんがプレーするのは、5人でチームを組む陣取りゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」。そのLoLとの出会いは意外なものだった。
「中学2年の時、好きだった人に誘われ、LoLを始めました。その人に追いつきたくて練習していましたが、いつの間にか、私の方がうまくなっていました」
中学卒業後、埼玉県の公立高校に一度は入学。しかし、2年の時、N高への転校を決意した。
「初めは高校にちゃんと通い、遊びたいという思いが強かった。埼玉の公立高校に入学後、テニス部にも入りました。でも、半年ほど過ぎたころ、再びLoLをやりたくなったので、始めると、どんどん夢中になりました。
2年の時には、グランドマスター(国内全プレーヤーの上位0・05%に与えられる称号)となり、このまま勉強して大学に進学し、普通に就職する人生ではなく、やりたいことがあるなら挑戦すべきではないかと思うようになりました。そして、全国高校eスポーツ選手権にどうしても出場したかった。だから、eスポーツ部が活躍していたN高への転校を決めました」
思い出はリーダーとの「大げんか」
N高は通信制だが、学校生活で今も心に残っているのは、LoLを通じた仲間の存在だった。
「通信制の高校って、人と関わりをあまり持たない学校だと思っていました。しかし、自分が動けば、いろいろな出会いがあります。eスポーツ部に入り、『KDG N1』のメンバーと出会いました。
メンバーは個性の豊かな人が多く、時々ぶつかることもありました。特に、第3回全国高校eスポーツ選手権の決勝大会前日に、リーダーの『まりも』選手(本名・井上瑞貴さん)と大げんかをしたことが思い出に残っています。目標は同じ優勝でしたが、戦術について考えが合わず、決勝大会に出られないんじゃないかって思うくらいのけんかをしてしまいました。でも、顧問の先生やコーチが私を諭してくれて……。まりも選手も大会当日、何事もなかったように『おはよう。今日頑張ろうな』みたいな感じで話してくれたので、救われました。
一緒に全国高校eスポーツ選手権を戦い、友達関係が築けましたし、自分の好きなことに時間を使える通信制の高校に転校して本当によかったです」
信頼できる仲間と臨んだ全国高校eスポーツ選手権では、第2、3回とも最高の結果を残した。ところが、大友さんにとって、高校最後の第3回選手権は完全燃焼できなかった。
「(オフラインで開かれた)第2回選手権は大きい会場に観客がいて、すごく緊張しました。心の余裕はなかったですね。ディフェンディングチャンピオンとして戦った第3回選手権は、絶対優勝できるという自信を持てるくらい練習をしたので、余裕がありました。
第3回選手権の決勝戦、『アートカレッジ神戸A』
との試合はピンチもありました。奇襲をかけるため、試合直前にレギュラーの選手とサブの選手を入れ替えました。元々、私たちのチームは、私とまりも選手のコンビを中心に戦うのが特徴なんですが、サブの選手を入れたメンバーであまり練習をしていなかったため、コンビネーションがうまくいかず、対応できませんでした。最終的に「ぷりも」選手(本名・綱澤志遠さん)がいいプレーをして逆転。ただ、自分以外の人が活躍して勝利するのは、ちょっと悔しかったですね」
第4回大会「女子チーム応援したい」
大友さんは現在、タレントとして活動する一方、プロチーム「Rascal Jester」の練習生としてeスポーツにも取り組んでいる。だが、プロのレベルの高さを痛感している。
「高校時代、あまり負けたことはなかったんですが、『Rascal Jester』の主力チームと対戦した時、ボッコボコにやられて、こんなに高い壁があるんだって実感しました。しかし、20歳の間に、今のチームの主力選手になって、(LoLの国内プロリーグ)『LJL』に出場したいです」
今年9月からは、第4回全国高校eスポーツ選手権が開催される。大友さんは女子選手を気にかけ、エールを送る。
「選手権は、LoLをやっている高校生なら絶対に出たい大会。私が選手権に出場している姿を見てN高を選んだ新入生もいて驚きました。プロを目指す高校生にとって、選手権はどうしても優勝したい道なんじゃないかと思います。
母校には、とにかく今の調子で頑張り、チャンピオンの座を守ってほしいです。他の高校には、毎日、学校に通いながらLoLの練習をして大変な高校生もいると思いますが、N高を倒せるように頑張ってほしい。特に、女子チームを応援したいです。女子というだけで風当たりが強かったりすることもあるかもしれませんが、みんなゲームが好きでうまくなりたいと思っているはずですので、その気持ちを大切に持ち続けてほしいです」
大友美有(おおとも・みゆう)
2002年8月13日、埼玉県生まれ。19年に「女子高生ミスコン2019」のファイナリストになり、現在は大学に通いながら、プロゲーマー兼タレントとして活動している。
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